「肩の骨折後に動かしにくさや痛みが続く方へ」── 上腕骨近位部骨折と早期リハビリの最新研究をもとに詳しく解説します

2026年07月8日

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。

「転倒して肩を骨折してから、腕が上がりにくくなってしまった」「固定が外れたのに、思ったよりも動きが戻らない」そのようなお悩みを抱えた方が、当院にも多くいらっしゃいます。

今回は、上腕骨近位部骨折(肩の付け根あたりの骨折)の保存的ケアに関する最新の研究をもとに、骨折後の肩の動きの回復に関係している可能性のある知見を詳しく解説します。

上腕骨近位部骨折とは?

上腕骨近位部とは、腕の骨(上腕骨)の肩に近い上端部分のことです。転倒して手をついたときや、肩を直接打ちつけたときに生じやすく、特に骨密度が低下しやすい中高年・シニアの方に多く見られる骨折です。成人の骨折の中でも発生頻度が高いとされており、転倒予防や骨の健康維持という観点からも注目されています。

骨折後は、一定期間の固定が必要になりますが、固定が終わったあとも「肩が思うように動かない」「腕を上げようとすると痛みが走る」「固まってきてしまった気がする」といった状態が続くことがあります。こうした状態には、骨そのものの回復だけでなく、周囲の筋肉・腱・関節包(関節を覆う組織)の柔軟性や動きの回復が関係している可能性があります。

よく見られる症状・特徴

  • 肩を横・前・後ろに動かすときに痛みや引っかかり感がある
  • 腕を頭の上まで上げることが難しい
  • 固定が外れてからも、肩まわりのこわばりや重だるさが残っている
  • 「また痛くなるのでは」という不安から、腕を使う動作を避けてしまっている
  • 骨折した側の肩だけでなく、首・肩甲骨まわり・腰にも張りや疲れが出ている
原因として考えられる状態

2024年に医学誌「Disability and Rehabilitation」に掲載されたシステマティックレビューでは、上腕骨近位部骨折の非手術的治療において「早期リハビリ(受傷後1週間以内に開始)」と「従来の固定療法(3〜4週間の固定後に開始)」を比較した複数の研究が検討されています。

この研究では、早期リハビリ群は骨折後初期(受傷後数ヶ月)における肩関節の機能回復や痛みの状態において、より早い段階での変化が報告されています。また、合併症の増加は認められなかったとされており、早期介入の安全性も確認されています。一方、6〜12ヶ月後の長期的なアウトカムでは両群間に大きな差はなく、早期から動き始めることの短期的な優位性と安全性が主な知見として示されています。

この知見が示唆しているのは、骨折後の回復において「いつから・どのように動き始めるか」というタイミングと方法が、その後の機能回復の経過に関係している可能性があるという点です。ただし、骨折の状態・年齢・体力・生活背景は人によって異なるため、個々の状態に応じたアプローチが重要です。

姿勢や生活習慣の影響

肩の骨折後に動きが戻りにくくなる背景には、固定中に起こりやすい筋肉の萎縮・関節周囲組織の硬化・痛みをかばうことで変化した姿勢なども関係している可能性があります。

たとえば、患側(骨折した側)の肩をかばうことで、肩甲骨の動きが制限されたり、反対側の肩や首に余分な負担がかかったりすることが観察されることがあります。また、「痛みが出るかもしれない」という不安から腕の使用を避けてしまうことが、回復の経過に影響を与える場合もあるとされています。

日常生活での家事・買い物・着替えなど、肩や腕を使う動作が多い中高年・シニアの方にとっては、肩の動きの回復がそのまま生活の質に直結することもあります。

放置することで起こりうる影響

骨折後の肩の動きの制限や痛みをそのままにしておくと、以下のような状態につながる可能性があります。

  • 関節周囲の組織がさらに硬化し、動きの制限が日常生活に影響を与えるようになることがある
  • 患側の肩をかばい続けることで、反対側の肩・首・腰に負担が集中しやすくなる
  • 腕を使わない期間が長くなると、筋力や筋持久力の低下が進みやすい
  • 痛みへの不安が強くなることで、外出や活動量が減り、全体的な体力の低下につながる場合がある

当院で行っている対応

横須賀悠整骨院では、肩の骨折後の動きの回復を目指す方に対して、以下のような対応を行っています。

状態の確認・動きのチェック

まず、肩関節の可動域(どのくらい動くか)、肩甲骨・鎖骨の動き方、首や体幹とのバランスを丁寧に確認します。痛みが出る動作の方向や強さについても、問診と動きの確認を通じて把握していきます。

手技によるアプローチ

肩周囲の筋肉・腱・関節包の柔軟性に働きかける手技を状態に応じて行います。ストレッチングや、関節の動きを引き出すためのモビライゼーション(関節への穏やかなアプローチ)なども取り入れています。

日常生活へのアドバイス

「どの動作まで無理なくできるか」「日常生活で肩への負担を減らすためのポイント」などをわかりやすくお伝えしています。無理のない範囲でご自宅でできることもご提案します。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

こんな方は一度ご相談ください
  • 上腕骨近位部骨折(肩の骨折)の後、肩の動きがなかなか戻っていない
  • 固定が終わって時間が経ったのに、まだ動かしにくさや痛みが残っている
  • 「肩が固まってきているかもしれない」と感じている
  • 家事や着替えなど、日常の動作で肩が不自由に感じる
  • どこに相談すればよいかわからず、そのままにしてしまっている
まとめ

上腕骨近位部骨折は、転倒などで生じやすい肩まわりの骨折です。骨がくっつくだけでは、日常生活への完全な復帰には不十分なことがあります。周囲の筋肉・腱・関節の動きを回復させていくプロセスが、その後の生活の質に大きく関係しているとされています。

最新の研究では、骨折後のケアを「いつから・どのように開始するか」というタイミングが、短期的な機能回復に関係している可能性が示されています。当院では、お一人おひとりの状態を丁寧に確認しながら、肩の動きの回復に向けた施術と日常生活へのアドバイスを行っています。

肩の骨折後の動きや痛みについてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

参考文献

  • 論文タイトル: Early rehabilitation vs. conventional immobilization in nonoperative treatment of proximal humeral fracture: a systematic review
  • 著者: Various authors
  • ジャーナル: Disability and Rehabilitation
  • 発行年: 2024
  • URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38884512/