体のメンテナンスに「運動」を取り入れる際に考慮すべきことについて。横須賀悠整骨院が徹底解説。

2025年03月14日

横須賀市佐原の横須賀悠整骨院の伊藤です。

まず大前提として、本日お話しする内容は「小難しい」「完璧主義すぎる」内容です。

また、どこまでのレベルの運動が可能なレベルに現在在って、どこまでを目指すべき目標・目的を持っているか。患者さんの状況によって勿論最適解は異なります。

ただし、考慮したい原理原則的な部分は大きくは異なりませんので比較的万人に共通しやすそうな部分をかいつまんでご説明いたします。

運動はそもそもなぜした方が良いのか?

そもそもなぜ運動を勧める整形外科さんや整骨院が多いのでしょう。

それはざっくり 栄養循環 酸素循環 耐糖能 受容器 などの観点があります。

それぞれ簡単に説明すると以下です。

栄養循環

運動すると使われた筋肉はポンプのように収縮と弛緩を繰り返します。この際、筋肉や周辺の組織を栄養する物質の循環が起こります。
逆に、長いこと使われていない筋の部位はポンプしないが故に栄養物質の循環が少なくなります。これが筋肉自体の代謝能力や回復力を下げ、痛みや不快感の原因になることもあります。

組織を維持するための最低限の栄養を長い期間下回ると、当然組織そのものも傷ついていきます。

酸素循環

運動すると呼吸数が増えたり呼吸量が増えたりして酸素の取り込み量が増えます。

酸素は人間の体の機能と構造を維持する上で必須のものです。

それは筋であっても神経であっても脳であっても同じことです。

酸素の大食漢はなんと言っても脳と神経です。

全身の体重の2%しか占めていない脳だけでも、全身の酸素消費量の20%前後を使用すると言われています。

酸素取り込み量が少ないと最も被害を被るのは脳と神経であるとも言えるでしょう。
酸素は血流によって全身の細胞に運搬されますので血流不足も組織の酸欠を引き起こす原因の1つとなるでしょう。(これは前述した栄養循環も同じです。

受容器

全身の筋肉には受容器と呼ばれる外からの刺激を受け取る感覚センサーがたくさんついています。

これらのセンサーは使う頻度が高いほど発達しますし、低いほど使いづらくなります。

また受容器は関節の運動にも深く関係していて、今、手は何度上がっているのか? 今体は真っ直ぐなのか?なども感覚として情報を集めています。

この感覚が鈍化している関節は動きが悪くなりやすいです。

1つの単位の運動をするかしないか、どのようにするかは多くは脳が決定し指示を出しています。

その際、必要な情報があまり入ってこない関節があったらどうでしょう?

目を瞑って竹馬に乗って全力で走れと言われたら怖くてうまく動けないですよね。

情報がセンサーによってうまく把握されない関節では、実は水面下で同じようなことが起こっているわけです。

話は戻りますがセンサーは使うほど発達し、使わないほど錆びます。運動習慣が少ない方には運動をおすすめする背景の1つであったりするわけです。

 

耐糖能

これは難しすぎる話なので本当に噛み砕いて簡潔に。

隠れ糖尿病や隠れ糖尿病予備軍の方って実はかなり多いんです。

糖尿病傾向とはざっくりなんなのか。それは耐糖能の低下です。耐糖能とは、糖質、炭水化物を体のエネルギーとして使う能力です。

耐糖能が下がると、糖を食べても食べても血中濃度が上がるばかりで細胞の中に吸収されていきません。(だから血糖値が異常に上がるんです。)

なぜそれが筋肉や関節にとってもよくないか?

それは筋肉のメインエネルギーにも糖が必要だからです。

もっと言うなら脳のメインエネルギーもブドウ糖と言われる糖です。

糖が細胞に取り込まれないと言うことはどんなに食べていようが体の糖を必要とする部分は飢餓状態になるわけです。

栄養不足の体は勿論回復力も異常に低い状態です。

この傾向がある方の怪我や不快症状は急性慢性を問わずよくなるのに大変時間がかかります。

施術の時間とお金がなるべくコストパフォーマンスの良いものになるように、耐糖能を高める必要がある状況ならそのためのアクションができるのがBETTERです。

そのアクションの1つは運動です。

筋肉は筋グリコーゲンと言う糖の予備タンクを背負っているのですが、このタンクの残量が減れば、耐糖能が下がっている人であっても糖質を細胞に取り込む力は強くなります。

ご自身の耐糖能が気になる方は、病院で血液検査を受けるか、もしくはAmazonなどでフリースタイルリブレと言う血糖値を測れるパッチを買うこともできます。

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運動ならなんでもいいのか?

運動であれば何をやってもやらないよりはいいのか?

これはよく現場で質問されることです。

解答はずばり、人による。です。

なんじゃそれではありますが

運動習慣が全くない10代20代の健康な方であれば運動しないより、どんな運動でもした方が良い。が答えになります。

では怪我の既往がある方はどうでしょうか?

表面化してきた痛みや痺れなどの不快症状の裏には潜在的な表面化していない原因や姿勢的な特性などがあります。

潜在的な原因まで綺麗にケアできていればどんな運動でもやったほうが良いが解答になりますが中々そうもいきません。

リスクになる動きは避けなくてはならないと言う前提が1つ乗っかるわけです。

人による。の真意は人によって取れるリスクの幅が変わるからです。

年齢、身長、体重、筋肉量や体の柔らかさ、生活習慣の偏り、過去の怪我の歴や古傷の有無など。

そして運動自体にも目に見えずらい特性やリスク、傾向があります。ぱっと見同じような動きでも全然違うと言うことも多いのです。

例えば、腕立て伏せとベンチプレスは似た運動でしょうか?

どちらも胸のトレーニングですが実はかなり違う特性があります。

ベンチプレスは背中全体と両足が地面やベンチで固定されていますが腕立て伏せは手足の4点が地面についているだけです。

ベンチプレスは体幹に力が入ってなくてもできますが、腕立て伏せは崩れてしまいます。

などなど。

似たような運動でも特性やリスクは大きく異なります。

運動を勧める際には、患者さんによってどこまでのリスクをとりながら何を目指すか。が全てなわけです。

 

特化の怖さ

また、運動は同じことを繰り返すと上手になります。

それは良いことでもあり、リスクでもあります。

よくある事例を交えて紹介します。

今のところ体に不快感は無い運動習慣のない50代 女性 Aさん、が運動した方が良いと言われたことをきっかけにテニススクールに入って週に2日テニスをするようになったとします。

最初はテニスも上手ではなく、久々に動かす筋肉が筋肉痛になったりはしたものの、体調や気分は心なし良いし、体型も少しスリムになったと喜んでいます。

ここまでは意識も「健康」を軸にしていて、行動も「健康」を意識した軸上にいます。

Aさんは徐々に上達してテニスも楽しくなり、スクールで友達もできました。

練習時間は変わりませんがこの頃から少し膝が痛いことが増えてきました。

ここでAさんの運動はテニスのための運動となりつつあり、健康の軸を離れます。

そして、Aさんに起こり始めているのが、テニスの動作への過剰な適応つまり「特化」です。

特定の運動を上達すること 特定の運動を繰り返し行うこと これはその動作に特化して偏ると言うことでもあるわけです。

横須賀悠整骨院にも中学校、高校、大学で部活動を行なっている10代から20代の学生さんもたくさんいらっしゃいますが、彼らのような若くて健康な体であっても特化と偏りは怪我の原因になるわけです。

大切なことは目的と手段を混同しないこと。

運動のための運動とならず、健康のための運動の軸をずらさないことです。

弱い部分を動かせばいいのか?

痛みや不快症状があるところを動かせばいいのか?というと勿論そうはいきません。

関節や筋肉の不具合は往々にして前述した構造や機能の偏りからくる過負荷や廃用(動かさない時間が長いことによる不快状態)があります。

そんな中で特定の部位の状態が、過負荷なのか廃用なのか、真逆ともいえるこの状態の見極めがないままとりあえず動かせばいい。とはならないわけです。

運動は、血流や酸素、ポンプ機能などが足りていない部分に行うべきで過負荷の部分に行えば悪化させる要因となりえます。

どこを狙ってどうおこなうのか?これは中々難しいテーマだと思われるかもしれません。

ここではまず禁忌(やってはいけない状態)と各関節の傾向について伝えられればと思っています。

運動の禁忌

運動を行ってはいけない状態とは、簡単にいえば炎症や腫れがある状態のことです。

筋肉痛などをのぞいて動かすと痛い、腫れがある。内出血がある。他にも動かすと関節に水がたまったり、局所的に熱をもって熱くなったりするのは運動の禁忌です。

関節の傾向

人間の関節には安定性を高めるべき関節 と可動性を高めるべき関節の2種類があると言われています。

逆説的に言えば 安定性が下がりやすい関節(それによって不具合が出やすい関節)と可動性が下がりやすい関節(それによって不具合が出やすい関節)があるとも言い換えられると思います。

それらを図で簡潔に表すと、

Joint by joint 理論 (1)

 

上の図のようになるとお考えください。

一口に運動で鍛えると言っても、安定性を高める方向性で鍛えるのか、可動性を高める方向で鍛えるのか によっても大きな違いが出てくるわけです。

スタビライザーの傾向

また、関節にはその関節を安定させるための筋肉が存在します。

関節を動かすことに主に寄与する筋肉をモビライザー

関節を安定させることに主に寄与する筋肉をスタビライザーと呼びます。

またスタビライザーの配置は

この図のオレンジで示した筋群とざっくりお考えください。

 

モビリティファースト説

これは諸説あるのですが、モビリティファースト説というものがあります。

スタビリティもモビリティも十分でない場合、まずはどちらを優先的にアプローチすべきか?と言う議論です。

モビリティファースト説では、この名の通りモビリティを優先しましょうと言う内容です。

ちなみに私はモビリティファースト説には懐疑的です。

伊藤的には、これもまた人によるし、強いて言うなら両方同時に必要なケースが多いと考えています。

デコピンを思い浮かべてください。

強力なデコピンを打つには可動部である中指の可動性もさることながら、その周辺の指や関節もぐっと固められないと威力は十分に出ません。

要は効率的に効果的に運動を行うためには可動性も安定性も両立しなくてはならないわけです。

柔らかければいいとういうわけではないことを示すいい例に、アイドルの始球式を思い浮かべてみてください。

(勿論上手な人もいますよ)

彼女たちは柔軟性はあるけれど安定性がない状態で投球動作をしているため、ふにゃふにゃした動きになり、投球動作の結果となるボールの動きもキャッチャーまで届かないことが多い印象ですよね。
また、動きすぎは運動がうまくいかないだけでなく、安定性の欠如につながることもあります。いくら柔らかくても、人間であり構造がきまっている以上可動域には限界があります。

限界を超えた可動域で動けば勿論怪我につながります。安定性も必須なわけですね。

逆に安定性が高く柔軟性が低いパターンであれば体がカチカチのパターンは想像が難しくないと思います。

関節の動きが固い(安定性はある意味高いが関節の可動域は低い)パターンでは、関節ででない可動域は隣接する関節が負担するか、隣接する軟部組織か筋肉が負担して運動目的の必要とする可動域を無理やり出そうとするわけです。

体の固いパパが運動会で肉離れする。などが典型例ですよね。

可動域を出す対処は、マッサージ、ストレッチ、関節の整復などが代表的で、安定性を出す対処は、筋トレ(運動、リハ)、出力が落ちている筋肉に対するトリガーポイント施術、EMS、一時的な対処であればテーピングなどの固定が代表的です。

結論私は両方の要素を満たす必要がある。ただし、対処の結果が見えやすいのはモビリティ(トリガーポイント施術は即効性ありだが筋量が直接増えるわけではない)。が意見です。

さて、ここまで風呂敷を広げるだけ広げたのでここから少し話をまとめに入ろうと思います。

横須賀悠整骨院での施術の意味合いと役割

施術でできることは、

可動性に対してできることは 筋肉、皮膚、関節への直接的介入。

安定性に対してできることは 使えていない筋肉を起こす作業(トリガーポイント施術)、EMS(当院ではEMSは施術の一部として行いますので無料です。緩んでいるところを締める、固まったところは緩める。の両方を両立してこそ施術であると考えています。)

施術と並行していただきたい運動と手順

手順 (姿勢)

仰向けでの局所運動→仰向けでの連動運動→四つ這いでの連動運動→立った状態での運動

赤ちゃんからの発達手順に沿って考えるとシンプルですね。

仰向けの赤ちゃんが、はいはいして(四つ這い)、立つ。

手順 (運動自体)

止まった状態で出力する運動→関節が動く運動

具体的に鍛えたい部位

オレンジの部位が中心で考えればシンプルです。