自律神経の施術ってどんなことをするの?
2024年08月12日
一般に自律神経の症状ってどんなもの?
自律神経の症状と呼ばれるものには以下のようなものがあります。
・不眠や睡眠の質が悪い
・肩や首、背中のコリや張り感
・一部の偏頭痛や吐き気
・起立性低血圧
・頭や顔ののぼせ
・手足の冷え
・過呼吸
・朝起きれなくて学校や会社に行けない
・汗が出ない
・お腹が動かない。食欲がなくて嗜好品しか食べられない(お菓子やアイス、ファーストフードなど)
・感情や精神の不安定さ
・異常に元気な時とスイッチが完全に切れてしまう時がある(躁鬱でなくても起こりえます。別に病気ではないケースが大半です。)
これらの症状は全身にバラついていて、共通点やつながりが見出しづらいと思いますが、しっかりと繋がっています。
今日はこの謎の症状である自律神経症状と当院の施術について簡単にご説明致します。
なぜ起こる症状なの?
自律神経症状を紐解くには自律神経についてまずは説明する必要があります。
難しい分野ですができる限り簡単にご説明致します。
自律神経とは、交感神経と副交感神経の2通りに分かれています。
交感神経は精神的・肉体的なアクセル。
副交感神経は精神的・肉体的なブレーキとでも言いましょうか。
自律神経→交感神経 =アクセル
→副交感神経 =ブレーキ
という構図ですね。
ここからさらに、副交感神経が2つに分かれます。
副交感神経は別名、迷走神経と呼ばれるのですが、この迷走神経(副交感神経)は、背側迷走神経と腹側迷走神経の2つに分かれていきます。
背側迷走神経が横隔膜より下の内蔵や筋肉。(小腸、胃などの消化の内蔵など)
腹側迷走神経が横隔膜より上の内蔵や筋肉を主に支配します。(心臓や肺などの呼吸を司る部分や、表情筋などのコミニュケーションを司る部分)
ここまでをまとめると
自律神経→交感神経 =アクセル
→副交感神経 →背側迷走神経=ブレーキ横隔膜より下=消化
→腹側迷走神経=ブレーキ横隔膜より上=呼吸・表情
こんな感じです。
そしてこの自律神経には中枢(出発点・ホームみたいな感じです。)がそれぞれ存在しています。
交換神経は胸髄、腰髄が中枢でして、胸髄というのは胸椎(背骨の背中の部分)、腰髄は腰椎(腰の背骨)の髄(骨髄のように骨の中です)が中枢です。
迷走神経(副交感神経)は中枢は脳です。
脳からでる脳神経は全部で12種類ありまして、
Ⅰ 嗅神経 →嗅覚を司る神経
Ⅱ視神経 →視覚を司る神経
Ⅲ動眼神経 →目の動きを司どる神経
Ⅳ滑車神経 →同じく目の動きを司る神経
Ⅴ三叉神経 →顔の感覚を司る神経
Ⅵ外転神経 →同じく目の動きを司る神経
Ⅶ 顔面神経 →顔の運動を司る神経
Ⅷ 内耳神経 →平衡覚と聴覚を司る
Ⅸ 舌咽神経 →のどや舌の感覚などを司る
Ⅹ 迷走神経 →今回の主役です
Ⅺ 副神経 →首や肩周りの筋肉を支配
Ⅻ 舌下神経 →舌の運動を司る
の12こです。
この10番が迷走神経。なわけですね。
ちなみに話はそれますが11番の副神経は迷走神経の副枝といってサブみたいな位置にいる神経です。
もちろん迷走神経とも密接に関わっていますが、この副神経が支配している筋肉は首や肩周辺の筋肉に多いのです。(腹側迷走神経も横隔膜より上でしたよね。10番の迷走神経以外は腹側迷走神経に関与しますし、10番の迷走神経は腹側迷走神経にも、背側迷走神経にも関与します。)
肩こりや湿布のCMで有名な僧帽筋も副神経支配の筋肉です。
自律神経と首や肩、背中の症状の関与がうっすら見えて来ましたか?
さて話を戻して、副交感神経の中枢は脳なわけです。
この12神経は脳幹と呼ばれる脳の最重要部位が中枢です。
そして面白いのがこの迷走神経と副神経以外の神経は全てが顔周辺や首から上の機能に関わっている神経です。
しかもみてください。
目眩や難聴に関与しそうな神経や食欲不振や声がうまく出ないなどに関与しそうな神経、目が泳いでしまったり、顔が引き攣ってしまったり。
自律神経症状に関与しそうな神経が目白押しではありませんか?
迷走神経は同じホーム(脳幹)からでる12個の仲間たちと共同して働いていることが多いのです。
副交感神経や脳に疲労や過剰な負荷がかかると、そのほかの仲間たちにも影響が及ぶわけですね。
ちなみに10番の迷走神経だけは背骨に沿って骨盤の方まで伸びて、横隔膜より下で小腸、胃などの消化器に関与していきます。
自律神経の施術って何をするの?
前項が理解できると何をすべきかも自ずと見えてきます。
ほとんどの自律神経症状(ほとんどというか、100%といっても良いのではないか?)は交感神経の機能が亢進している or 副交感神経の機能が低下しているといっても良いと考えています。
つまり必要なことは
交感神経を鎮めるアプローチ
背側迷走神経の機能を上げるアプローチ
腹側迷走神経の機能を上げるアプローチ
がメインとなるでしょう。
順番は、背側迷走神経→腹側迷走神経→交感神経
なことが多いです。理由は長くなるので割愛。笑
また、このブログを読んでいただいている方の何割かはすでに当院で施術している方でしょうから、その方達への指針になると良いなという側面から、セルフケアについてと、施術でなくてはできないこと、の両面をざっくりお話ししていきます。
手順1 背側迷走神経の機能を高める
背側迷走神経の担当は消化器でしたよね。
アプローチは、栄養療法と腹部へのアプローチとなります。
自律神経の施術の難しさは、受けていただくだけでは効果が思うようにでず、能動的に生活習慣やセルフケアに取り組んでいただく必要があることが挙げられます。
栄養療法がいい例です。
毎日多量の飲酒、コーヒーなどの刺激物、喫煙、アイスクリームやファストフードや菓子パンのような食事を続けていて消化器にいい影響はありますか?=背側迷走神経にいい影響ありますか? という話です。
何割かの人がなかなか良くならないのはこのためです。
背側迷走神経の機能を上げるところからしか自律神経機能を改善することはできません。
栄養のおすすめは血糖コントロールとサプリメンテーションです。
血糖コントロールは、何も太っていなくても糖尿病でなくても、必須中の必須です。
血糖値が安定せずに派手に上がったり下がったりしていると、アドレナリン(興奮)、ノルアドレナリン(不安)、コルチゾール(不安)を大量に分泌してしまいます。
これらが過剰に出ていればメンタルが安定するはずもありませんし、不眠や不調につながりやすいのもイメージつきやすいですよね。
当院の患者さんには「血糖コントロールマニュアル」を無料で差し上げています。
細かく実行していただきたいことや注意点が書かれていますので、スタッフにお申し付けいただければすぐにPDFか印刷で共有いたします。
サプリメンテーションで効果が高いとされているのは以下の2つです。
ビタミンC→大量に消費されているであろうコルチゾールの直接の材料です。疲弊しているコルチゾール機能を正常化するのと、活性酸素の除去に効果的であると報告されています。
効果的なものを選ぶにはコツがあります。
マグネシウム→筋肉や神経の弛緩に必要です。足りていない方がビタミンCと同様多く、マグネシウムを摂取するだけで睡眠の質が変化する方も一定数いらっしゃいます。
選び方にコツがあります。
また、この領域が弱っている方におすすめなのが
①1人でゆっくりする時間を十分に確保すること(背側は消化と休息の神経です。)
②食事とサプリメントで内側から気持ちよさや健やかさを感じること
③生活の中での刺激量を減らすこと→TVや携帯を極力見ない。大音量で音楽や音声を聞かない。激しい運転をしない。刺激物を食べない、飲まない。意識的に隙間時間は暇を感じ、それに耐えることに慣れましょう。意識的にたくさんの時間、ぼーっとしてください。
手順2 腹側迷走神経の機能を高める
横隔膜より上の機能の改善です。
横須賀悠整骨院では、表情筋の特定の動きのパターンで腹側迷走神経の機能を評価するテスト方や、自律神経を数値化して測定するスマートパルスという機器があります。
背側迷走神経の土台がしっかり出来上がっていれば、比較的施術の反応が出やすいです。
表情筋や頭に対して特定の刺激を入れたり、呼吸を司どる横隔膜等に刺激を入れる施術を用いることもあります。
また、一般的にはあまり知られていませんが、当院の美容鍼メニューは、腹側迷走神経狙いでも大活躍します。
意図と理論を知っていればこそ手法は活きるのです。
背側迷走神経の土台がある方で腹側の分野に踏み入れた方におすすめなのは
①背側の休息3つを妨げない範囲で、人とコミニュケーションをとってみる。(身近な人1人とでもいいし、初めは心地よいタイミングだけで良いです。)
②表情筋をセルフで大きく動かしてみる。
③背側の休息3つを妨げない範囲で「感覚」を感じることに全集中する練習をする。
→散歩にいって季節の匂いや気温、湿度、風が木の葉をざわめかせる音、夕暮れの空の色などを全身で丁寧に感じ取る練習や、部屋でお香を焚いてもいいし、ご飯をいつもよりよく噛み締めて、噛み締めるたびに変わる微妙な甘さの変化を感じるのでも良いです。
手順3 交感神経を鎮める
迷走神経2つの機能がある程度改善されていれば、バランスが相対的に戻っていることと思います。
ここからは交感神経中枢である脊柱へのアプローチを併用しつつ、迷走神経アプローチも継続します。
まとめ
改善度合いが良かった患者さんはよく、メンタル=フィジカル ですね。
とおっしゃいます。
その通りだと思います。
心の問題や精神の問題の何十%かは体の問題が土壌にあり、土壌を改善することで上物の回復力が変わることなんて自然の摂理だと考えています。
精神の問題は精神の問題といても存在するとは思いますが、体の問題も多分に含まれているよ。という話ですね。
心や精神と言われているのは、脳や自律神経なわけで、身体の一部にすぎませんからね。
もちろん、体のアプローチが全てだとは言いません。
身体のアプローチも必要ですよ。という視点が伝われば幸いです。
ここまでお読みいただいてありがとうございました!