「動かさない方が楽」という膝への誤解
2026年08月27日
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。
長く歩いた日の夜や、階段を下りるときに膝の奥がこわばる感じがある。そんなお悩みを抱えて来院される方は、年代を問わず少なくありません。今回は膝の変形性の変化、いわゆる変形性膝関節症と、最近報告された新しいリハビリの視点についてご紹介します。日頃の診療で感じていることも交えながら、できるだけわかりやすくお伝えします。
膝の内部で起きていること
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨や関節包に負担がかかることで痛みやこわばりが生じる状態です。加齢や体重、過去のけがなどが背景にあるとされていますが、実は痛みの強さや動きにくさは、軟骨のすり減り具合だけでは説明がつかないこともわかってきています。画像上はそれほど大きな変化がないのに強い痛みを訴える方もいれば、逆に画像上は進んでいるのに痛みをあまり感じない方もいる。臨床の現場でもよく経験することです。
2026年に発表されたPreece氏らのフィージビリティRCT(Osteoarthritis and Cartilage Open誌)は、この差を説明するひとつの手がかりとして、日常動作の中での筋肉の使い方に注目しました。階段の昇り降りや立ち上がりといった何気ない動作の中で、膝まわりの筋肉が必要以上に緊張し続けている人が多いというのです。痛みを避けようとして無意識に力を込め続ける「かばい方の癖」が、かえって膝への負担を大きくしている可能性があるという指摘です。研究自体はまだ実施可能性を確かめる段階の小規模な試験ですが、動作の質という切り口は、これまでの運動療法とは少し違う視点を与えてくれます。

こんな場面で気になる膝の違和感
- 階段を下りるときに膝の内側や前面がズキッとする
- 椅子から立ち上がる瞬間に膝がこわばる
- 正座や深いしゃがみ込みがしづらい
- 長時間座った後、最初の一歩に違和感がある
- 歩き出しは平気でも、距離が伸びると重だるさが出る
- 荷物を持って階段を使うときだけ、膝に力が入りすぎる感覚がある
こうした症状は毎日同じ強さで出るとは限らず、天候や活動量によって変わることも多いため、「たいしたことはない」と見過ごされがちです。ご本人としても、どこまでが年齢による自然な変化で、どこからが注意すべき変化なのか、判断がつきにくいという声もよく伺います。

痛みの背景にある、もうひとつの要因
軟骨のすり減りに加えて、上記の研究が着目したのは「筋肉の使いすぎた緊張」です。膝を守ろうとする防御的な反応が習慣化すると、関節を動かすたびに余計な力みが入り、動作そのものが硬く、ぎこちなくなっていきます。一度痛みを経験すると、脳や神経の側にも「この動きは危ない」という記憶が残りやすく、実際には支障がない場面でも無意識に力を込めてしまうことがあります。この状態が長引くと、周囲の筋肉が疲労しやすくなり、痛みの感じ方そのものが敏感になっていくとも言われています。もちろん、原因は一つに限られるわけではなく、体重や筋力、過去のけがの有無によっても状況は変わってきます。
普段の姿勢が及ぼす影響
デスクワークで長時間座りっぱなしの姿勢が続くと、股関節まわりの筋肉が硬くなり、立ち上がる際に膝だけで体重を支えようとする癖がつきやすくなります。また、靴底のすり減り方に左右差がある方は、歩行時に一方の膝へ負担が偏っていることもあります。買い物帰りに片方の手だけで重い荷物を持つ習慣がある方や、料理や洗い物で中腰の姿勢を長く続ける方も、片側の膝に負担が集中しやすい傾向があります。座布団に座る際や布団からの立ち上がり方など、日本の生活様式に特有の動作も、膝への負担を左右する要因のひとつです。日々の何気ない姿勢の積み重ねが、膝の緊張パターンに影響していることは少なくありません。

ご家庭でできるセルフチェック
診察室以外でも、簡単に確認できる方法があります。階段を一段下りるとき、膝から下だけでなく、太ももやふくらはぎにどれくらい力が入っているか、意識を向けてみてください。必要以上にぎゅっと力が入っている、あるいは息を止めて構えてしまっているようであれば、それが「かばい方の癖」のサインかもしれません。無理に力を抜こうとする必要はありませんが、まずは気づくことが最初の一歩になります。鏡の前でゆっくりしゃがみ込む動作を確認し、左右の膝の動き方に差がないかを見比べてみるのもひとつの手段です。
この研究の位置づけと注意点
今回ご紹介した研究は、あくまで新しい介入方法が実施可能かどうかを確かめる段階のものであり、大規模な検証はこれから進んでいく分野です。そのため「これさえ意識すれば十分」というものではなく、これまで大切にされてきた体重管理や筋力の維持、無理のない範囲での運動習慣と組み合わせて考えることが重要だと私たちは捉えています。あくまで数ある視点のひとつとして、日常の動き方を見直すきっかけにしていただければと思います。
対象となった参加者の人数もそれほど多くはなく、効果の大きさを断定できる段階ではないという点も申し添えておきたいと思います。それでも、痛みという結果だけを追うのではなく、その手前にある「動き方」に着目する視点は、当院がこれまで大切にしてきた姿勢の見立てとも重なる部分が多く、今後の運動指導に取り入れていく価値があると考えています。
そのままにした場合に考えられること
膝のこわばりや違和感を我慢しながら生活を続けると、動かす機会そのものが減り、周囲の筋力が落ちていくことがあります。筋力が落ちるとさらに関節を支える力が弱まり、余計な力みで補おうとする悪循環に入りやすくなります。結果として可動域が狭くなり、外出や趣味の活動を控えるようになる方も見受けられます。活動量が減ると体重の管理も難しくなり、膝への負担がさらに増すという連鎖につながることもあります。友人との外出や散歩の機会が減ることで、体力面だけでなく気分の面でも活動的でなくなってしまったという声を伺うこともあり、早い段階で動き方を見直すことには意味があると感じています。
横須賀悠整骨院での向き合い方
当院ではまず、歩行や階段昇降、立ち座りの動作を実際に確認し、どの場面で膝まわりに力みが入りやすいかを一緒に確認します。そのうえで、硬くなった筋肉や関節包まわりに手技でアプローチし、力みを抜きやすい状態を整えます。関節の動きを妨げている筋膜や筋肉のこわばりをゆるめたあと、実際にもう一度同じ動作をしていただき、力の入り方に変化があるかを確認することも大切にしています。あわせて、ご自宅でできる負担の少ない動かし方や、力を抜く感覚をつかむための簡単な運動もご提案しています。
痛みの感じ方や生活背景は一人ひとり異なるため、画一的な説明ではなく、実際の動きを見ながら調整していくことを大切にしています。初回はお身体の状態や生活習慣について詳しくお伺いしたうえで、無理のない範囲で施術の計画を立てていきます。継続して通っていただく中で、動作の変化やご自身で気づいたことを共有していただきながら、少しずつ調整を重ねていく流れです。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。気になる症状がある方は、遠慮なくスタッフへお声がけください。
お気軽にご相談ください
「年のせいだから仕方ない」と我慢を続けている方もいらっしゃいますが、動作の癖や筋肉の使い方を見直すことで、日常の負担が軽くなる可能性はあります。久里浜・北久里浜周辺にお住まいの方は、お気軽に横須賀悠整骨院へご相談ください。
今日お伝えしたいこと
変形性膝関節症は軟骨の変化だけでなく、動作中の筋肉の緊張パターンも関わっていると考えられています。階段や立ち座りの場面で膝に力が入りすぎていないか、一度ご自身の動きを振り返ってみることが、負担を減らす第一歩になるかもしれません。日々の小さな気づきの積み重ねが、長く自分の脚で歩き続けるための土台になっていくはずです。
参考文献
Preece SJ, et al. “Cognitive Muscular Therapy for Knee Osteoarthritis: A Feasibility Randomized Controlled Trial.” Osteoarthritis and Cartilage Open, 2026. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42011335/





