腱・靭帯の健康を守るために ― 固定と運動療法の重要性

2025年10月16日

腱・靭帯の健康を守るために ― 固定と運動療法の重要性 

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院。横須賀悠整骨院です。
(佐原インターから車で2分。リーフスタジアムやエニタイムフィットネス久里浜店さんと同じ線上にあります。)
 

腱と靭帯とは何か

 
 
私たちの身体の中で「腱(けん)」と「靭帯(じんたい)」は、目立たないながらも非常に重要な役割を担っています。
腱は、筋肉と骨をつなぐ組織であり、筋肉が収縮した力を骨へと伝える“伝達ケーブル”のようなものです。一方、靭帯は骨と骨をつなぎ、関節の安定性を保つ“ベルト”のような存在です。

どちらも主にコラーゲン線維でできており、この線維が規則正しく配列されていることで、強くしなやかに力を伝えることができます。

しかし、同じ「線維組織」であっても、構造や機能には明確な違いがあります。腱は動きのために伸縮性をもち、靭帯は安定のために制御的な弾力性をもちます。
どちらも「適度な張力」が加わることで強くなり、「過剰な負荷」や「長期の安静」によって弱くなるという共通の性質を持っています。

 
 
健康な腱・靭帯とは
 
健康な腱や靭帯は、規則正しく整列したコラーゲン線維と、適度な水分を含んだしなやかな構造を持っています。
線維の間に適度な潤滑があり、外力がかかってもスムーズに力を分散できる状態です。

また、腱細胞や靭帯細胞が常に微妙な張力を感じ取り、代謝を調整しています。これは「メカノバイオロジー(Mechanobiology)」と呼ばれる分野で明らかにされている仕組みで、細胞は“力”を感知して、自らの構造を調整することができるのです。

つまり、「動くこと」そのものが腱や靭帯の健康を維持するための刺激となります。

 
 
不健康な腱・靭帯の状態
 
一方で、長期間の不活動、過剰なストレス、または損傷によって腱や靭帯の構造が乱れると、線維はバラバラに配列し、水分を失い、弾力性を失っていきます。
この状態では、力を伝える効率が下がり、さらに微細な損傷を繰り返す悪循環に陥ります。

また、損傷後に不十分な固定や過度の刺激を与えると、DAMPs(Damage-Associated Molecular Patterns)と呼ばれる“損傷シグナル”が体内に広がり、慢性的な炎症反応が起こりやすくなります。
これは「痛みがなかなか引かない」「治っても再発する」といった状態の背景にも関係していると考えられています。

 
 
 
損傷時に大切なのは「正しい順序」
 
腱や靭帯を傷めたときに大切なのは、
1️⃣ 初期はしっかり固定し、炎症拡大を防ぐこと
2️⃣ 組織の修復が進んだら、適切なタイミングで運動療法を開始すること
です。

固定を怠ると炎症が長引き、逆に安静期間が長すぎると線維が弱く硬くなってしまいます。
重要なのは、「いつ、どのように動かし始めるか」というタイミングの見極めです。

論文でも示されているように、腱や靭帯の細胞は適切な力を受けることでコラーゲンの再構築を始めます。これを無視してしまうと、再生される線維が不規則に並び、再び損傷を繰り返す“脆弱な組織”になってしまいます。

 

横須賀悠整骨院でのアプローチ

 
 
当院では、腱・靭帯の損傷に対して「安静」「固定」「再教育(運動療法)」を段階的に組み合わせたサポートを行っています。
• 初期評価では、損傷の程度や炎症反応を丁寧に確認し、必要に応じて固定や安静を指導。
• 中期以降は、組織の回復に合わせて「軽い荷重刺激」や「関節可動域の再獲得」を目的とした運動を行います。
• 最終段階では、再発予防のための筋力・バランス再教育を行い、腱・靭帯の配列と水分バランスを取り戻していきます。

これにより、腱や靭帯の線維が再び“機能的に整列”することを目指します。

 
機械的刺激が導く「治る力」
メカノバイオロジーの研究では、腱や靭帯は「適度な機械的刺激」を受けることで自己修復力を高めることが報告されています。
つまり、「ただ安静にする」のではなく、「正しいタイミングで正しい刺激を与える」ことが、治癒を早める鍵なのです。

これは単なるリハビリではなく、身体が本来持つ自己調整の仕組みを引き出す科学的なアプローチと言えます。
横須賀悠整骨院では、この考え方をベースに、個々の症状や回復段階に合わせたプログラムを提案しています。

 
まとめ
 
 
腱や靭帯の健康は、日常生活のすべての動きの基盤です。
損傷したときは「しっかり固定」、その後は「適切な運動療法」で再生を促す。
このサイクルを理解し、段階的に進めることが、長期的な健康維持につながります。

横須賀悠整骨院では、腱・靭帯の構造と機能を理解した上で、固定・回復・再教育の3段階でサポートいたします。
腱や靭帯の痛み、違和感、繰り返すケガでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

参考文献

Wang, J. H.-C. (2006). Mechanobiology of tendon. Journal of Biomechanics, 39(9), 1563–1582. ScienceDirect