高齢者や運動不足の方に多い「股関節まわりの硬さ」と姿勢バランスの関係
2025年09月3日
高齢者や運動不足の方に多い「股関節まわりの硬さ」と姿勢バランスの関係

神奈川県横須賀市久里浜駅と北久里浜駅の中間に位置している接骨院、
横須賀悠整骨院です。
当院には、「最近股関節が硬くなった気がする」「お尻や腰まわりの筋肉が常に張っている」「柔軟性がなくなって、歩幅も小さくなった」といったお悩みでご来院される方が増えています。
実はこの背景には、体性感覚の低下と姿勢制御の仕組みが大きく関わっていることが、海外や国内の研究によって示唆されています。今回は、その最新知見を踏まえて「なぜ股関節まわりが硬くなるのか」「どうすれば予防できるのか」をわかりやすく解説していきます。
体性感覚と前庭感覚 ― 姿勢を支える2つの柱
人間が立っているときのバランスは、主に次の3つの感覚で維持されています。
1. 視覚:目で周囲の傾きを確認
2. 前庭感覚:耳の奥の三半規管が頭の位置や加速度を感知
3. 体性感覚:足裏や足関節・膝・股関節からの固有受容感覚(位置や圧力の情報)
これらが連携することで、私たちは無意識に姿勢を保つことができます。
「足首戦略」と「股関節戦略」
姿勢制御には2つの基本戦略があります。
• 足首戦略(ankle strategy):
足関節を中心に細かく動かしてバランスをとる方法。若年者や健康な方は主にこの戦略を多用します。
• 股関節戦略(hip strategy):
股関節を大きく動かして姿勢を制御する方法。不安定な床や強い外乱時に使われます。
ところが、体性感覚が低下すると、本来補助的であるはずの股関節戦略が過剰に使われてしまうことが報告されています。
引用研究①
Horakら(1990)は、体性感覚を麻酔で遮断した被験者では足首戦略が減少し、股関節戦略を多用する傾向があると報告しました(Horak FB, Nashner LM, Diener HC. Exp Brain Res. 1990)。
高齢者や運動不足の方に起こる変化

高齢者や長く運動をしていない方では、次のような変化が重なります。
1. 筋紡錘や固有受容器の機能低下
加齢や活動量の低下により、体性感覚の入力が減少します。崎田(2010)は、加齢によって筋紡錘の構造や機能が変化し、感覚入力が鈍ることを報告しています。
2. 股関節戦略の多用
Asghariら(2025)は、高齢者では足関節よりも股関節の感覚が姿勢制御に強く影響することを示しました。これは、体性感覚低下の補償として股関節に依存することを意味します。
3. 共同収縮(ココンストラクション)の増加
Kanekarら(2014)は、高齢者が姿勢制御の際に拮抗筋を同時に働かせる「筋の固め反応」を多用することを報告しました。これは一時的には安定を生むものの、慢性的には筋の過緊張や柔軟性低下につながる可能性があります。
臨床でよく見られる現象
当院でも、以下のような特徴を持つ方が多くいらっしゃいます。
• 股関節の伸展が出にくい
• 臀筋群や腸腰筋が過度に張っている
• ストレッチをしてもすぐに硬さが戻る
• 足首の可動性や安定性が低下している
これらはまさに「体性感覚の低下 → 股関節戦略の多用 → 股関節周囲筋の過緊張」という流れと合致します。
予防・改善のためにできること
1. 足関節を使った運動習慣
• かかと上げ・つま先上げなど、足首をしっかり動かす運動を日常に取り入れましょう。
• バランスディスクや不安定な床の上でのトレーニングも効果的です。
2. 股関節の柔軟性維持
• 臀筋・腸腰筋ストレッチ(ランジストレッチ、仰向けのヒップストレッチなど)を習慣化。
• 長時間座りっぱなしを避け、こまめに立ち上がって股関節を動かすことも重要です。
3. 姿勢制御のトレーニング
• 突発的な外乱に対応するトレーニング(軽く押されてバランスを取り直す練習など)が有効。
• 近年は「Perturbation-based training(外乱応答訓練)」として研究も進んでいます。
整骨院でできるサポート

横須賀悠整骨院では、
• 股関節・足関節の可動性チェック
• 姿勢戦略の評価
• 適切なストレッチ・筋力トレーニングの指導
• 手技による過緊張筋の緩和
といった総合的なアプローチを行っています。
「なんとなく股関節が硬い」「歩幅が狭くなった」と感じたときは、早めにご相談ください。
まとめ
• 高齢者や運動不足の方では、体性感覚の低下により足首戦略が使いにくくなり、股関節戦略に依存しやすくなります(Horak 1990)。
• その結果、臀筋群や腸腰筋の過緊張、柔軟性低下が起こりやすくなります(Asghari 2025, Kanekar 2014, 崎田 2010)。
• 日常的な運動、柔軟性の維持、バランストレーニングが予防につながります。
横須賀悠整骨院では、一人ひとりの身体の状態に合わせたサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
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参考文献
1. Horak FB, Nashner LM, Diener HC. Postural strategies associated with somatosensory and vestibular loss. Exp Brain Res. 1990;82(1):167–177.
2. Asghari H, et al. Aging changes proprioceptive contributions to balance recovery. Eur Rev Aging Phys Act. 2025.
3. Kanekar N, Aruin AS. The effect of aging on anticipatory postural control. Aging Dis. 2014;5(5):307–314.
4. 崎田哲也. 高齢者の固有受容感覚と姿勢制御. 九州大学学術リポジトリ, 2010.





