「歳のせい」で片づけない肩の痛み
2026年08月25日
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。今回は「肩の腱板」という、聞き慣れないけれど実はとても身近な組織のお話をお届けします。洗濯物を干そうと腕を上げたときにズキッとする、寝返りを打った拍子に肩の奥がうずく、そんな経験がある方は少なくないはずです。当院にも「年齢のせいだと思っていたけれど、思ったより痛みが引かない」と相談にいらっしゃる方が続いています。今回は2026年に発表された腱板障害の保存的管理に関する総説をもとに、ご自宅でできる見直しのヒントも交えながら整理していきます。
腕を上げるたびに感じる違和感の正体
肩関節は、上腕骨と肩甲骨をつなぐ小さな筋肉群によって支えられています。この筋肉群は4本の筋肉の腱が集まってできており、まとめて「腱板」と呼ばれます。腕を横や前に持ち上げる、扉を開ける、荷物を棚に上げる。こうした日常のあらゆる動作で、腱板は肩関節を安定させる縁の下の力持ちとして働いています。
腱板を構成する4つの筋肉、棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋は、それぞれ腕を横に持ち上げる、外にひねる、内にひねるといった役割を分担しています。どの筋の腱に負担が集中しているかによって、痛みの出る角度や動きの種類も変わってきます。
ところがこの腱板は、加齢や使い方の偏りによってすり減ったり、部分的に損傷したりすることが少なくありません。厚みのある靭帯とは異なり、腱板は薄く、血流も豊富とは言えない構造をしています。そのため一度負担が蓄積すると、回復に時間がかかりやすいという特徴があります。
肩の痛みというと「四十肩・五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎を思い浮かべる方も多いかもしれません。肩関節周囲炎は関節包そのものが硬くなり、あらゆる方向への動きが等しく制限されやすいのが特徴です。一方、腱板に由来する痛みは特定の角度や動作でだけ強く出やすく、可動域自体は保たれていることも少なくありません。どちらのタイプに近いかを見極めることは、施術の方針を立てるうえで欠かせない手がかりになります。

該当しやすい動作とタイミング
来院される方に共通してうかがう症状には、次のようなものがあります。
- 腕を横から上げていく途中、ある角度でだけ鋭い痛みが走る
- 就寝中、痛む側を下にすると目が覚めてしまう
- 高い場所の物を取ろうとすると肩がすくむような感覚がある
- シャツの袖に腕を通す、後ろで手を組むといった動作がしづらい
- 肩そのものよりも、二の腕の外側にだるさを感じる
これらは腱板に関わる症状としてよく見られる組み合わせです。もちろん似た症状は他の肩の状態でも起こり得るため、自己判断だけで済ませず、実際の動きを確認することが欠かせません。特に60代以降の方では、明確なきっかけがないまま徐々に痛みが強くなっていくケースも多く見られます。転倒や重い荷物を持った拍子に急に痛みが出た場合と、知らないうちに痛みが強くなっていった場合とでは、考えられる背景が異なることもあります。

なぜ腱板は傷みやすいのか
2026年に医学誌Medicinaへ掲載された腱板障害に関する総説では、腱板の変性や損傷が起こる背景として、加齢に伴う組織の変化に加え、肩甲骨や体幹の使い方の乱れが繰り返し負担をかけている点が指摘されています。同論文は、初期評価から画像検査の位置づけ、そして理学療法を中心とした保存的アプローチまでを段階的に整理した、臨床現場向けの実践的な提案としてまとめられたものです。腱板の状態は、いきなり大きく損なわれるというより、小さな摩耗が長い時間をかけて積み重なっていくものだと考えられています。だからこそ、痛みが軽いうちの向き合い方が、その後の経過を左右しやすいのです。
腱板は単独で酷使されるわけではなく、肩甲骨の動きや姿勢と密接に関わっています。肩甲骨がうまく上下・回旋できていないと、腕を上げる際に腱板だけへ負担が集中しやすくなります。デスクワークで肩が前に丸まった姿勢が続くと、この動きの連動が崩れやすいことも知られています。
画像検査はすぐに必要なのか
肩の痛みで来院された方から「レントゲンやMRIを撮らなくて大丈夫でしょうか」とたずねられることがあります。先の総説では、まず問診と身体所見による評価を丁寧に行い、その結果をもとに画像検査の要否を判断するという段階的な進め方が紹介されています。すべての方に最初から画像検査が必要というわけではなく、症状の経過や動きの制限具合を見ながら、必要な場合に適切なタイミングで案内するという考え方です。当院でも、動きの確認を通じて医療機関での検査が望ましいと判断した際には、その旨をお伝えするようにしています。
姿勢や生活習慣が与える影響
- 長時間のパソコン作業で肩が内側に巻き込んだ姿勢が続いている
- 荷物をいつも同じ側の肩にかけている
- 運動不足で肩甲骨まわりの筋肉が使われていない
- 冷房の効いた部屋で肩まわりが冷えやすい
これらは腱板そのものを直接傷つけるわけではありませんが、腱板にかかる負担を増やす下地になり得ます。特に肩甲骨の動きが硬くなっている方は、腕を上げる際に肩関節へ余分なストレスがかかりやすい傾向があります。

そのままにしておくとどうなるか
軽い違和感のうちは、多くの方が「そのうち良くなるだろう」とやり過ごしてしまいがちです。ですが、痛みをかばって腕の使い方が変わると、今度は反対側の肩や首、背中にまで負担が広がることがあります。夜間の痛みで睡眠の質が落ち、日中の集中力にまで影響が及ぶケースも珍しくありません。可動域の制限が進むと、腕を後ろに回す、頭の上まで上げるといった動作がさらに難しくなっていきます。実際に、半年ほど違和感を我慢していたことで、シャツを着る、電車のつり革につかまるといった何気ない動作にまで支障が出てしまったという方もいらっしゃいました。
横須賀悠整骨院で行っていること
当院ではまず、腕をさまざまな角度に持ち上げていただきながら、痛みの出るタイミングや左右の筋力差を確認します。必要に応じて、腱板の状態を推測するためのいくつかの整形外科的なテストも組み合わせて行い、肩関節だけでなく肩甲骨の動きや姿勢の癖、日常での腕の使い方まで含めて評価することで、負担の原因がどこにあるのかを見極めていきます。
そのうえで、硬くなった棘下筋や肩甲下筋まわりの筋肉、関節まわりの組織へ手技でアプローチし、肩甲骨の動きを引き出すモビライゼーションもあわせて行います。ご自宅では、タオルを使って腕を無理のない範囲で持ち上げる運動や、壁に手を添えて肩甲骨を意識的に動かす体操など、負担の少ないところから始めていただくようお伝えしています。痛みの強さや経過には個人差があるため、状態を確認しながら段階的に進めていく方針です。
ご相談ください
「年齢のせいだから仕方ない」と決めつける前に、一度肩の動きを確認してみませんか。特に、夜間に痛みで目が覚める、腕を上げる角度によって痛みの強さが変わるという方は、早めの相談をおすすめします。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。レントゲンやMRIといった画像検査が必要と判断した場合には、遠慮なくお伝えいたします。
まとめ
肩の腱板は、日常のさまざまな動作を陰で支えている組織です。加齢による変化に加え、姿勢や日々の腕の使い方が積み重なることで、負担が集中しやすくなります。放置すると可動域の制限や睡眠への影響が広がることもあるため、違和感の段階で一度専門家に相談することをおすすめします。痛みの出方や経過は一人ひとり異なるため、まずは現在の状態を丁寧に確認することから始めていきます。横須賀悠整骨院では、動きの確認から手技、運動のご提案まで、お一人おひとりの状態に合わせて対応しております。久里浜・北久里浜周辺にお住まいの方は、お気軽にお声がけください。
参考文献
Schwitzguébel AJP, et al. Rotator Cuff Disorders: Practical Recommendations for Conservative Management Based on the Literature. Medicina (Kaunas). 2026;62(2):272. https://www.mdpi.com/1648-9144/62/2/272





