リスフラン損傷と保存的なケアの選び方

2026年09月15日

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。

先日、当院にいらした患者様から「階段を踏み外して足の甲をひねってから、二週間経つのに腫れが引かない」というご相談をいただきました。ご本人は軽い捻挫だと思って様子を見ていたそうですが、実際に足を診させていただくと、足の甲の中央あたりに押すと響くような痛みがあり、体重をかけたときの不安定感も残っていました。

このように、足首よりも少し内側、いわゆる「足の甲」にあたる部分のケガは、見た目の腫れが軽くても内部でしっかりとした組織の損傷が起きていることがあります。今回は、この部位の代表的な外傷である「リスフラン損傷」について、最近発表された総説論文の知見を交えながらお伝えします。ご高齢の患者様や、日々の生活の中でつまずきやすさを感じている方にとって、知っておいて損のない内容だと思います。

足の甲の中心にある小さな関節群

足の甲には、すねの骨から続く足根骨と、指につながる中足骨をつなぐ関節の集まりがあります。これを支えているのが、フランス人医師リスフランの名にちなんで呼ばれる靭帯で、足のアーチを保つうえで重要な役割を担っています。段差を踏み外す、重いものを足に落とす、あるいは足先を固定した状態でひねるといった動作が加わると、この靭帯や周囲の骨に負担がかかり、損傷につながることがあります。

スポーツをしている若い世代だけでなく、庭仕事や買い物の途中、自転車を降りる瞬間など、日常のちょっとした場面でも起こり得るケガです。特にご高齢の方は、転倒の勢いでこの部分をひねってしまうケースが少なくありません。

実際、別の患者様は「庭の縁石に足を取られて前のめりに倒れ、足の甲を地面に強くついた」とお話しされていました。その場では歩けたため大事にはしなかったそうですが、数日後になって靴を履くのがつらいほど腫れが強くなり、来院につながりました。転んだ直後は気が動転して痛みを感じにくいことも多く、後になって症状がはっきりしてくるという経過は珍しくありません。

こんな変化があれば注意したい

当院にご相談いただく際、次のような症状を訴える方が多くいらっしゃいます。

  • 足の甲の中央から少し外側にかけての腫れ
  • 土踏まずやかかとにまで広がる内出血の跡
  • 体重をかけて立ったときのぐらつき、または鋭い痛み
  • つま先立ちや階段の上り下りでの強い違和感
  • 靴を履いたときの締め付け感が普段と違う

これらは軽い捻挫でも起こる症状のため、見た目だけで判断するのは難しいところがあります。腫れが軽くても、実際には靭帯や骨にひびが入っていることもあるため、注意深い観察が欠かせません。

 

見逃されやすい理由と、早期の見極めの大切さ

今回参考にした総説(Kos P, et al. “Lisfranc Injuries: Latest Updates on Diagnostics and Management,” Orthopedic Reviews, 2026年)では、リスフラン損傷が単純な捻挫と誤認されやすく、診断が遅れることで足のアーチが崩れたり、慢性的な不安定感や外傷後の関節の変化につながる可能性が指摘されています。同時に、損傷の程度に応じて保存療法と手術療法のどちらが適しているかを見極める基準についても整理されており、すべてのケースで同じ対応が必要になるわけではないことが分かります。

比較的軽度で骨のずれが小さい場合には、固定と段階的な荷重管理を中心とした保存的な向き合い方が選ばれることが多いとされています。一方で、関節の位置が大きくずれているケースでは、専門的な画像検査を含めた精密な評価が必要になる場合もあります。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。ご自身で判断がつかないときは、遠慮なくご相談ください。

姿勢や歩き方のクセが与える影響

足の甲のケガは、その後の歩き方に大きく左右されます。痛みをかばって足の外側や指先だけで歩く癖がつくと、足首や膝、股関節にまで負担が広がっていくことがあります。特に、普段から足のアーチが低め(いわゆる扁平足気味)の方や、靴の中で足が滑りやすい履き方をされている方は、リスフラン部分にかかる力が偏りやすい傾向があります。

また、体重の増加や長時間の立ち仕事も、足のアーチを支える組織への負担を積み重ねる要因になり得ます。日頃から足裏全体でしっかり体重を受け止める歩き方を意識していただくことが、再発防止の第一歩になります。

床に座る生活が多いご家庭では、正座から立ち上がる瞬間や、和式トイレでしゃがみ込む動作でも足の甲に強い力がかかります。ふだん何気なく行っている動作の中に、リスフラン部分へ負担が集中する場面が意外と多いことを知っておいていただくと、痛みが再び強くなったときの原因を振り返りやすくなります。

 

 

そのままにしておくとどうなるか

痛みが軽くなったからといって自己判断で運動量を戻してしまうと、不安定な状態のまま関節に負荷がかかり続け、足のアーチが崩れていく可能性があります。結果として、歩くたびに違和感が残ったり、膝や腰にまで疲労感が波及したりすることも考えられます。特にご高齢の方は、痛みをかばう歩行が続くことで転倒のリスクがさらに高まるという悪循環にもつながりかねません。早い段階で状態を確認しておくことが、その後の生活の質を保つうえで大切だと考えています。

当院での向き合い方

当院では、まず歩行の様子や足を着く角度、体重のかけ方を丁寧に確認します。そのうえで足の甲を一つひとつ触診し、痛みの出る位置や腫れの範囲、関節の動きの左右差を細かくチェックします。強い痛みや明らかな変形がある場合には、無理に手技を行わず、医療機関での画像検査を先にご案内することもあります。

軽度から中等度の状態と判断できる場合は、足関節や足指周辺の可動域を保つための緩やかな運動と、テーピングによるサポートを組み合わせてご提案しています。また、靴選びや歩行時の重心の乗せ方についても、生活の中で実践しやすい形でアドバイスをお伝えするようにしています。急に運動量を増やすのではなく、段階を踏みながら足を慣らしていくことを大切にしています。

受傷から数日の間は、腫れをこれ以上広げないことが最優先になります。座っているときや寝るときに足を少し高い位置に置く、氷のうなどで冷やす時間をこまめに取る、といった対応だけでも経過が変わってくることがあります。痛みが強い時期に無理に歩き回ってしまうと、腫れが引くまでに余計な時間がかかることもあるため、はじめの数日の過ごし方について、来院時に具体的な生活場面に沿ってお伝えするようにしています。杖や手すりを使って荷重を減らす工夫も、状態によってはお勧めしています。

気になる症状があれば、まずはお話しください

「捻挫くらいで受診するのは大げさかもしれない」と感じる方もいらっしゃいますが、足の甲の痛みが長引く場合は一度状態を確認しておくと安心です。当院では無理に何かを押しつけることはせず、まずはお話を伺いながら今の状態を一緒に整理していきます。久里浜・北久里浜周辺にお住まいの方は、お気軽にお立ち寄りください。

初めてご来院いただく際は、いつ、どのような状況でケガをしたか、痛みが強くなる動作は何かを詳しくお聞きします。ご自身では気づきにくい歩き方のクセや、日常生活で繰り返している負担のかかる動作を一緒に洗い出していくことで、今後の付き合い方の道筋が見えてくることが多いです。

まとめ

足の甲のケガは軽く見られがちですが、リスフラン部分の損傷は放置すると足全体のバランスに影響を及ぼすことがあります。腫れが引かない、体重をかけると不安定に感じるといった変化があれば、早めに状態を確認することをおすすめします。当院では、患者様お一人おひとりの生活スタイルに合わせて、無理のない形での回復を一緒に目指してまいります。


参考文献

Kos P, et al. “Lisfranc Injuries: Latest Updates on Diagnostics and Management.” Orthopedic Reviews, 2026. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/tsm2/3933956