大人の脊柱変形、手術以外にできること

2026年09月28日

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。

「若い頃より背中が丸くなった気がする」「鏡で見ると腰から背中にかけて左右のバランスが崩れている」——年齢を重ねる中で、そんな変化に気づいた経験はありませんか。今回は、加齢に伴って背骨の並びが徐々に変わっていく「成人脊柱変形」と、手術によらない向き合い方について、2025年に発表された海外の総説をもとにお伝えします。

成人脊柱変形とは

成人脊柱変形とは、思春期以降に発症したり、加齢とともに進行したりする背骨のカーブの乱れを指します。子どもの側弯症とは性質が異なり、椎間板の水分量の減少や関節の変性、骨密度の低下、周囲の筋力低下が絡み合って起こることが多いとされています。特に60代以降で目立ちやすく、腰やお尻まわりの張り、立ち姿勢の変化として気づかれることが少なくありません。

進行のスピードには個人差があり、数年かけてゆっくり変わっていく方もいれば、体調を崩したことをきっかけに数か月で姿勢が変わったと感じる方もいます。共通しているのは、背骨そのものだけでなく、それを支える筋肉や靭帯の力が弱まっていくことが背景にある点です。

よく見られる症状

  • 長時間立っていると腰から背中にかけてだるさが出る
  • 前かがみの姿勢の方が楽に感じる
  • 服を着たときに左右の肩の高さや裾の長さが違って見える
  • 歩く距離が伸びると足やお尻に張りやしびれ感が出てくる
  • 以前より身長が縮んだ気がする
  • 買い物袋を両手に持って歩くと、途中で片側だけ肩が下がってくる

原因として考えられること

2025年にJournal of Clinical Medicine誌に掲載されたナラティブレビューでは、成人脊柱変形に対して装具療法・運動療法・認知的なリハビリテーションを組み合わせた保存的なプログラムが、症状の管理に役立つ可能性があると整理されています。レビューでは椎間板や靭帯の変性、腹筋と背筋の筋力バランスの乱れが、カーブの進行に関わる要因として挙げられています。

同時に、こうした保存的なアプローチには限界があり、痛みや神経症状が強い場合には外科的な選択肢の検討が必要になることも述べられています。つまり、保存的なケアと医療機関での専門的な判断は、対立するものではなく、状態に応じて組み合わせて考えるべきものだといえます。年齢のせいだと片づけてしまう前に、今の身体の状態を確認しておくことに意味があります。

姿勢や生活習慣との関わり

背骨のカーブは、日々の姿勢のクセと無関係ではありません。長時間のデスクワークで骨盤が後ろに傾いた姿勢が続いたり、片側に荷物を持つ習慣があったりすると、左右非対称な負担が積み重なっていきます。庭仕事で同じ方向にばかり体をひねる、洗濯物を干すときにいつも同じ側の腰をかがめる、といった何気ない日常動作の積み重ねも、姿勢の偏りにつながることがあります。

また、体幹まわりの筋力が落ちると、背骨を支える力が弱まり、カーブの変化を助長しやすくなるとも考えられています。特別な運動をしていなくても、日常の座り方や立ち方を見直すだけで、負担のかかり方が変わってくることがあります。階段の上り下りで手すりに頼る回数が増えてきたという方は、体幹を支える筋力の変化を示すサインのひとつかもしれません。

年代によって変わる注意点

40代から50代にかけては、姿勢の変化があっても「疲れが溜まっているだけ」と見過ごされやすい時期です。この段階で体幹の筋力低下に気づけると、その後の進み方が大きく変わってくることがあります。

60代に入ると、骨密度の低下や関節の変性が加わり、姿勢の変化がより自覚しやすくなります。持病で通院中の方も多い年代ですので、腰や背中の張りを漠然と「歳のせい」と捉えず、体の動かし方を確認しておくことをおすすめしています。

70代以降になると、転倒への影響も無視できなくなってきます。背骨のカーブが強まると重心の位置が変わり、ちょっとした段差でもバランスを崩しやすくなることがあるため、歩き方や靴の選び方もあわせて見直していただくことがあります。

ご自身で確認してみましょう

朝起きたときと夕方とで、姿勢の丸まり方に違いを感じるかどうかは、ひとつの目安になります。また、壁に背中とかかとをつけて立ったときに、後頭部や腰のあたりに大きな隙間ができていないかを確認してみるのもよいでしょう。ご家族に横からの立ち姿を写真で撮ってもらい、数か月おきに比べてみるという方法も、変化に気づくきっかけになります。

そのままにしておくとどうなるか

軽い姿勢の変化であれば急いで対応しなくても大きな問題にならないこともありますが、変化が進むと、腰まわりの筋肉が慢性的に緊張しやすくなったり、歩行時のバランスが取りづらくなったりする場合があります。転倒のリスクにつながることもあるため、放置してよいというわけではありません。足のしびれや強い痛みを伴う場合は、脊柱管の狭さなど別の要因が関わっていることもあるため、注意が必要です。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

当院で確認していること

当院では、まず日常生活での立ち方や座り方、歩き方のクセを確認するところから始めます。背骨や骨盤の動きを丁寧にチェックし、可動域に左右差がないか、特定の筋肉に負担が偏っていないかを見ていきます。片足立ちでのぐらつき方や、しゃがみ込む動作の際の骨盤の傾き方なども、日常動作の負担を知るための手がかりになります。

そのうえで、硬さの出やすい部位への手技によるアプローチと、体幹を支える筋力を育てるための運動指導を組み合わせてご提案しています。急に強い動きを加えるのではなく、無理のない範囲で少しずつ体を慣らしていくことを大切にしています。ご自宅でできる簡単なストレッチや、椅子に座るときの骨盤の位置の意識の仕方など、生活の中に取り入れやすい工夫もあわせてお伝えしています。

長く付き合っていく背骨の状態だからこそ、無理のないペースで続けられる方法を一緒に探していきたいと考えています。通っていただく間隔も、その方の生活リズムに合わせてご相談しながら決めています。

初回は特に時間をかけて、これまでの生活の中でどのような動作を繰り返してきたかを丁寧にうかがっています。仕事や家事で片側ばかりを使う習慣がなかったか、過去に転んだり腰を痛めたりした経験がなかったかなど、背景を知ることが今の状態を理解する手がかりになるためです。そのうえで、施術のたびに歩き方や姿勢の変化を一緒に確認しながら、次に取り組むことを一つずつ決めていきます。

ご相談ください

「これくらいの姿勢の変化は年齢のせいだから仕方ない」と思って様子を見ている方も多いかもしれません。ですが、早い段階で体の使い方のクセに気づき、対応を始めることには意味があります。ご家族から姿勢の変化を指摘されたという方も、ぜひ一度体の状態を確認してみてください。背中や腰の張り、姿勢の変化が気になる方は、一度当院にご相談ください。

よくいただくご質問

「整体で背骨のカーブそのものが元に戻りますか」というご質問をいただくことがあります。すでに変化した骨や関節の形そのものを大きく変えることは難しいものの、周囲の筋肉の硬さをやわらげ、体を支える力を育てることで、日常生活での負担のかかり方を変えていくことは可能だと考えています。

「どのくらいの頻度で通えばよいですか」というご相談も多くいただきます。最初のうちは体の状態を把握するために間隔を詰めてご案内することもありますが、変化が落ち着いてきたら、生活の負担にならない範囲でメンテナンス的に通っていただく形をご提案しています。

まとめ

成人になってからの脊柱変形は、加齢や筋力低下、生活習慣の積み重ねが関係して少しずつ進んでいくことが多いとされています。保存的な運動療法や姿勢の見直しが症状管理に役立つ可能性がある一方、痛みやしびれが強い場合は医療機関での評価も欠かせません。日々の姿勢を見直しながら、無理のない範囲で体を整えていきましょう。

参考文献

Zlatanos CG, et al. “Nonoperative Treatment of Adult Spinal Deformity: A Comprehensive Narrative Review.” Journal of Clinical Medicine, 2025. DOI: 10.3390/jcm14248864