慢性腰痛と歩行の関係 ― 筋肉の使い方から考える新しい視点
2025年08月31日
慢性腰痛と歩行の関係 ― 筋肉の使い方から考える新しい視点
(佐原交差点を久里浜方面に進み、メルセデス・ベンツ横須賀さんの看板屋が右側に見えてきたらその隣が当院です。)
慢性的な腰の痛みで「歩くと疲れやすい」「姿勢が安定しない」と感じる方は少なくありません。腰痛は単に腰の筋肉が固いから、あるいは動きすぎて負担がかかっているからという単純な話ではなく、身体の使い方や筋肉の働き方のバランスが深く関わっています。
この点について、2003年に発表された Vogt らの研究(Neuromuscular control of walking with chronic low-back pain)は非常に興味深い示唆を与えてくれます。本記事では、その研究の要点を紹介しつつ、整骨院での運動指導やセルフケアの考え方にどうつながるかを解説していきます。

慢性腰痛と歩行の神経筋制御に関する研究
その結果、慢性腰痛のある人では、次のような特徴が見られました。
• 股関節の可動域が狭くなっていた(健康群:約38°に対し、腰痛群:約25°)
• 歩幅のリズムがわずかに変化(腰痛群ではストライドがやや長くなっていた)
• 筋肉の働き方に時間的なシフトがあった
• 腰部やお尻、もも裏の筋肉が「早めに働きはじめる」
• 一度働き出すと「長く働き続ける」傾向があった
つまり、動きそのものが大きく崩れているわけではないけれど、筋肉のオン・オフのタイミングが前倒しになり、結果的に負担のかかり方が変わっていることが示されたのです。
研究が示すこと ― 「緊張は悪」ではなく「身体の適応」
Vogtらは、この早期かつ長時間の筋活動を「痛みに対する保護的な適応」と捉えました。つまり、腰や骨盤まわりが不安定だと感じている身体が、自動的に「少し早めに筋肉を働かせ、安定感を高めよう」としているのです。
このことから、慢性腰痛に対するケアで大切なのは、単純に筋肉を緩めることではなく、その緊張が生じる原因に向き合うことだと考えられます。
臨床への応用 ― 緊張を「調整」し、動きの質を高める

• 股関節や骨盤まわりの可動性不足
• 腰と下肢の筋肉の協調性の乱れ
• 体幹の安定性をうまく使えていない(フィードフォワード制御の低下)
• 長年の痛みによる運動パターンの固定化
ですので、「硬い筋肉を緩める」だけでなく、正しいタイミングで必要なだけ筋肉を使えるように再教育することが重要になります。
例えば、
• 軽いエクササイズで骨盤や股関節の動きを引き出す
• バランスを取りながら体幹と下肢を連動させる練習をする
• 呼吸を使い、体幹深層の筋肉(腹横筋など)を意識する
といったアプローチを行うことで、筋肉の「オン・オフ」がスムーズになり、必要以上の緊張に頼らなくても安定した歩行が可能になっていきます。
日常で意識できること

1. 歩幅を大きく取りすぎない
→ 股関節が固いまま無理に歩幅を広げると、腰部に余計な緊張が生まれることがあります。
2. お尻とお腹を同時に意識する
→ 歩くときに「お尻を締める」意識だけでなく、「下腹部を少し引き込む」意識を持つと、体幹と股関節の連動が整いやすいです。
3. 緊張は悪者ではないと理解する
→ 腰やお尻が張るのは、身体が安定性を求めた結果であり、守るための反応でもあるという視点を持つと安心できます。
まとめ
この知見から、整骨院でのサポートにおいては「ただ筋肉を緩める」のではなく、「緊張を必要とさせている原因(可動性の低下や運動制御の乱れ)」にアプローチすることが大切だといえます。
横須賀悠整骨院では、こうした研究的背景を踏まえながら、運動指導や生活習慣のアドバイスを通じて「動きの質を高め、再発を防ぐ」サポートを行っています。慢性的な腰の不調でお悩みの方は、一度ご相談ください。
参考文献
Vogt L, Pfeifer K, Banzer W. Neuromuscular control of walking with chronic low-back pain. Man Ther. 2003;8(1):21–28.





