膝のお皿が外れてしまった経験がある方へ── 膝蓋骨脱臼と保存的なリハビリについて詳しく解説します

2026年08月7日

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。「部活動の練習中に膝のお皿が外側に外れてしまった」「一度外れてから、方向転換のたびに膝が不安定な感じがする」というようなお悩みでご来院される方が、特に成長期のお子様や、そのご家族の方から多く寄せられます。今回は、こうした膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)のような症状について、最新の研究知見も交えながら詳しく解説します。ご本人はもちろん、周りで見守るご家族の方にも知っておいていただきたい内容です。

膝蓋骨脱臼とは

膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿(膝蓋骨)が本来収まっているはずの大腿骨の溝(滑車溝)から、多くの場合は外側方向にずれてしまう状態のことを指します。バスケットボールやバレーボール、サッカーなど、ジャンプの着地や急な方向転換、膝をひねる動作が多いスポーツ活動中に、初回の脱臼が起こるケースがよく見られます。脱臼した瞬間は強い痛みを伴い、膝が「はまっていない」不自然な感覚があるといわれますが、膝を伸ばす動作などで自然に元の位置へ戻ることも少なくありません。ただし、一度脱臼を経験すると、その後も「外れやすさ」が残ってしまうことがあり、繰り返す不安定感や再脱臼につながる可能性があるといわれています。10代の成長期の方や、もともと関節の柔らかい体質(関節弛緩性)をお持ちの方、女性に多く見られる傾向があるとされています。

よく見られる症状・特徴

  • 膝のお皿が外側にズレるような感覚があった、または実際に外れてしまった経験がある
  • 受傷直後の強い腫れや熱感、内出血のような変色
  • 階段の上り下りや方向転換の際に「膝が抜けそうな」不安感がある
  • 膝を完全に伸ばしきる、または深く曲げる動作に抵抗感や違和感がある
  • 太ももの前側(大腿四頭筋)、特に膝の内側に近い筋肉に力が入りにくい感覚
  • 正座やしゃがみ込みの動作で膝のお皿の周囲に痛みが出やすい

原因として考えられる状態

2021年に学術誌「Journal of Orthopaedic Surgery and Research」に掲載された研究では、初回の外側膝蓋骨脱臼を経験した患者を対象に、装具による固定と外来での理学療法を組み合わせた保存的なアプローチと、それぞれの膝の解剖学的な特徴に応じて術式を調整した手術療法とを比較検討しています。この研究からは、膝の骨格的な特徴(大腿骨の滑車溝の浅さや膝蓋骨の位置、下肢全体のねじれの強さなど)によって不安定性が生じやすい方がいる一方で、保存的なリハビリテーションを丁寧に行うことで機能の回復を目指せる可能性があることがうかがえます。また、膝のお皿を内側から支える役割を持つ大腿四頭筋、なかでも内側広筋という筋肉の働きが弱くなっていることや、膝の内側に位置する靭帯(内側膝蓋大腿靭帯)が受傷時に伸びてしまうことが、その後の再発のしやすさに関係している可能性も指摘されています。同研究では、こうした要因を丁寧に見極めたうえで保存療法と手術療法のどちらが適しているかを判断することの重要性にも触れられており、すべての方に一律の対応をするのではなく、膝の状態に応じた個別的な見極めが必要であることを示唆しています。

姿勢や生活習慣の影響

膝蓋骨脱臼のような症状は、膝関節単独の問題としてではなく、下肢全体のアライメント(骨格の並び方)と関係が深いといわれています。いわゆるX脚傾向や、足裏のアーチが崩れている扁平足の状態、股関節まわりの筋力低下、股関節が内側にねじれやすい癖などが重なることで、膝のお皿にかかる負担の方向が偏りやすくなることがあります。また、日常生活で椅子に座る時間が長く、股関節や太ももの筋肉を積極的に使う機会が少ない生活習慣も、太もも周辺の筋力低下につながりやすいため注意が必要です。成長期のお子様の場合は、身長の伸びに筋力の発達が追いつかず、一時的にバランスが崩れやすい時期があることも知られています。日頃の歩き方や座り方、片脚に体重をかける癖なども、膝のお皿にかかる力のかかり方に少しずつ影響を与えていくと考えられています。

放置によって起こりうる影響

初回の脱臼のあと、膝まわりの筋力やバランスを十分に整えないまま日常生活やスポーツ活動へ復帰してしまうと、再び脱臼を繰り返すリスクが高まる可能性があるといわれています。また、脱臼が起こる際には膝蓋骨と大腿骨の接触面に強い負担がかかることがあり、軟骨面に影響が及ぶ場合もあるとされ、将来的な膝関節の状態にも関わってくる可能性があります。繰り返す不安定感を抱えたまま過ごすことで、無意識のうちに膝をかばう歩き方や姿勢のクセがついてしまい、股関節や腰など他の部位への負担につながることも考えられます。「痛みがおさまったから、もう外れていないから大丈夫」と自己判断せず、早い段階で膝まわりの状態を確認しておくことが、その後の生活やスポーツ活動を安心して続けるうえで大切だと考えられます。

当院で行っている対応

横須賀悠整骨院では、まず問診で受傷時の状況や、日常生活・スポーツ活動の中で感じている不安感について詳しくお伺いします。そのうえで、膝関節の可動域や膝のお皿の動き方の左右差、太もも周辺の筋力バランス、股関節や足関節を含めた下肢全体の使い方を一つひとつ確認していきます。状態確認の結果をふまえ、膝のお皿を安定させる筋肉へのアプローチや、股関節・足関節を含めた下肢全体の使い方の調整、日常生活やスポーツ復帰の段階に応じたテーピングによるサポートなど、お一人おひとりの状態に合わせた手技とアドバイスを行っています。あわせて、ご自宅でも取り組んでいただけるセルフケアの方法や、再発予防のために気をつけていただきたい姿勢・動作のポイント、スポーツ復帰の目安についても、その方の生活スタイルに合わせて丁寧にお伝えするようにしています。

リハビリの進め方について

膝蓋骨脱臼のような症状からの回復は、一度に元通りを目指すのではなく、段階を踏んで進めていくことが大切だと考えられています。受傷直後は腫れや痛みを落ち着かせることを優先し、その後は太ももの筋肉を軽く働かせる運動から少しずつ取り入れていきます。痛みや不安感の程度を確認しながら、片脚立ちやスクワットのような動作、方向転換を伴う動きへと段階を上げていくことで、日常生活やスポーツ活動への復帰をより安心して進められると考えられます。当院では、この段階を一緒に確認しながら、無理のないペースで進めていただけるようサポートしています。

こんな方は一度ご相談ください

  • 過去に膝のお皿が外れた経験がある方
  • 運動中や階段の昇り降りで膝が不安定に感じることがある方
  • お子様がスポーツ活動中に膝を痛めた、または外れたことがある保護者の方
  • 膝の曲げ伸ばしに違和感が続いている方
  • スポーツ復帰のタイミングや、復帰後の膝の使い方に不安がある方
  • ご自身やお子様の膝が「柔らかすぎる」「反りやすい」と感じている方

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。腫れが強い場合や、明らかな変形が見られる場合、強い痛みが続く場合には、まず医療機関での確認をご検討ください。

まとめ

膝蓋骨脱臼のような症状は、一度経験すると「またいつか外れるのではないか」という不安を抱えやすいものです。当院では、膝そのものだけでなく、股関節や足首を含めた身体全体のバランスを確認しながら、お一人おひとりの生活スタイルやスポーツ活動に合わせたケアを行っています。膝の不安定感やご家族の膝のケガについてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

参考文献

Liebensteiner M, et al.「Conservative versus tailored surgical treatment in patients with first time lateral patella dislocation: a randomized-controlled trial」Journal of Orthopaedic Surgery and Research(2021)
URL:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34120628/