打撲・捻挫・挫傷のあと、「冷やして安静」だけで大丈夫ですか? ── 軟部組織損傷の新しいケアの考え方を詳しく解説します
2026年06月10日
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。
「昨日、スポーツ中に着地をミスして足をひねってしまった」「階段を踏み外して膝を打った」「重い荷物を持ち上げた瞬間に太ももに痛みが走った」このような経験をされた方はいらっしゃいますか?
打撲・捻挫・挫傷は、日常生活やスポーツ中にごく普通に起こりえるケガです。多くの方が「アイシングをして安静にすればそのうち落ち着く」とお考えかもしれません。しかし、こうした対処法が本当にすべての場面で適切かどうかについては、近年の研究によって改めて検討が加えられています。
このページでは、「軟部組織損傷」というケガの特徴と、2020年にBritish Journal of Sports Medicine(英国スポーツ医学誌)で発表された最新のケアの考え方について詳しく解説します。
軟部組織損傷とはどのような状態か?
「軟部組織損傷」とは、骨以外の組織、すなわち筋肉・腱・靭帯・関節包などに強い外力が加わり、それらの組織が傷ついた状態のことです。整骨院・接骨院で最も多く扱うケガのカテゴリのひとつでもあります。日常の場面では、以下のように分類されることが多いです。
- 打撲(だぼく):床・地面・他者と衝突することで生じる、筋肉や周囲組織への直接的なダメージ。腫れ・内出血・押すと痛む圧痛が主な特徴です
- 捻挫(ねんざ):関節が正常な可動域を超えて動いたときに、靭帯・関節包が傷つく状態。足首・膝・手首・指などに起こりやすく、靭帯の傷の程度によって3段階に分類されます
- 挫傷(ざしょう):筋肉や腱が急激な伸び・収縮の力を受けて傷つく状態。いわゆる「肉離れ」もここに含まれます
これらは比較的よく見られるケガですが、適切なケアをしないままにしておくと、慢性的な不快感や再受傷のリスクが高まる可能性があります。
こんな症状はありませんか

以下のような症状がある場合、軟部組織損傷のような状態が関係している可能性があります。
- 受傷した部位が腫れている、または熱感がある
- 患部を押すと強い圧痛がある
- 体重をかけると痛みが出る、または出づらい
- 関節を動かそうとすると動きが制限される
- ケガをしてから数日経ったのに、腫れや違和感が残っている
- 以前に同じ部位を傷めたことがあり、繰り返しているように感じる
- 痛みは落ち着いたものの、どことなく「頼りなさ」や「ぐらつき感」が続いている
- 受傷部位をかばうように歩いていたら、他の部位まで不調が広がってきた
特に「急性期の腫れが引いた後も違和感が消えない」「何度も同じ部位を傷めてしまう」という場合は、状態を丁寧に確認することをおすすめします。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。骨折や靭帯の完全断裂が疑われる場合は、整形外科へのご受診をご検討ください。
最新研究から見えてくる——受傷後の回復に関係している要因
2020年、British Journal of Sports Medicine誌にDubois氏とEsculier氏が発表した論文「Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE」は、軟部組織損傷の管理に関する新しい枠組みを提示した論文として注目されています。
この論文では、従来広く普及していた「RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)」アプローチを見直し、「PEACE(急性期)」と「LOVE(亜急性期以降)」という2段階のフレームワークを提案しています。
特に注目すべき点として、「炎症反応そのものが組織修復に必要な生理的プロセスである」ことを強調しており、過度に炎症を抑えようとする処置が回復を妨げることがある可能性を指摘しています。
急性期のPEACE——受傷直後に意識したいこと
- P(Protection:保護):受傷直後は患部を守ることが重要ですが、完全な安静よりも「痛みの範囲内での日常動作の継続」が回復を助ける可能性があるとされています
- E(Elevation:挙上):腫れを軽減するために、患部を心臓より高い位置に保つことが推奨されています
- A(Avoid anti-inflammatory modalities:炎症抑制処置の回避):炎症は修復に必要なプロセスのため、過度に抑える処置は組織の自然修復を妨げる可能性があるとされています
- C(Compression:圧迫):適切な圧迫による腫れのコントロールが有用とされています
- E(Education:患者教育):今の身体の状態を理解し、回復の見通しを持つことが大切です
亜急性期以降のLOVE——段階的に回復を進める
- L(Load:漸進的負荷):組織の修復状況に合わせて段階的に負荷をかけていくことが、腱・靭帯・筋肉の強度回復に重要とされています
- O(Optimism:楽観):回復に対する前向きな心理的姿勢が、回復経過に影響する可能性があるとされています
- V(Vascularization:血流促進):損傷部位への血流を確保するような軽い有酸素運動が、組織修復を支える可能性があります
- E(Exercise:運動):患部の筋力・可動域・バランス感覚を取り戻すためのエクササイズが、再受傷防止にも関係するとされています
姿勢や生活習慣が影響している可能性があります
受傷の程度や回復の早さは、外力の大きさだけでなく、その方の身体の状態にも影響されると考えられています。
たとえば、体幹の安定性が低下している場合、着地動作やとっさの動作で一部の関節に過大な力が集中しやすくなることがあります。また、長時間のデスクワークや同じ姿勢の継続によって、足首・膝・肩まわりの筋肉のバランスが偏っている場合、些細なきっかけで受傷しやすくなる可能性があります。
日常的な姿勢の崩れや、もともとの関節の動かし方の偏りが、受傷リスクと関係していることもあります。受傷後のケアとあわせて、こうした背景についても確認していくことが大切です。

適切なケアをしないまま放置すると
軟部組織損傷を「しばらく様子を見ておけば自然に落ち着く」と放置すると、以下のような状態になりやすいことがあります。
- 急性期が過ぎた後も、患部に慢性的な違和感や不安定感が残る
- 損傷した組織が不完全な状態のまま日常に戻り、再び同じ部位を受傷しやすくなる
- 患部をかばう動作が習慣化し、膝・腰・肩など周囲の部位に二次的な負担がかかる
- 関節の動きに制限が生じ、長期的に日常動作やスポーツに支障が出る
「大したことはないだろう」と思っていた捻挫や打撲が、繰り返しの受傷や慢性化の原因になることもあります。気になった段階で一度状態を確認されることをおすすめします。
当院で行っている対応について

横須賀悠整骨院では、打撲・捻挫・挫傷でお越しいただいた場合、まず受傷状況と身体の状態を丁寧に確認することから始めます。
状態確認:いつ、どのような状況で受傷したか。腫れ・熱感・圧痛の有無、可動域の状態、荷重の可否などを確認します。
動きのチェック:受傷部位だけでなく、周囲の関節や体幹の動きにも着目し、全体的な動作のバランスを確認します。他の部位への影響が出ていないかも合わせて確認します。
手技によるアプローチ:急性期の腫れが落ち着いてきた段階で、患部および周囲組織の状態に合わせた手技を行います。関節の動きを丁寧に確認しながら、硬さが生じている部分を整えていきます。回復段階に応じて施術の内容を調整します。
生活・動作のアドバイス:受傷後の日常生活での動作の工夫、再受傷を防ぐためのポイント、ご自宅でできるセルフケアの方法についてもお伝えします。
こんな方は一度ご相談ください
- 打撲・捻挫・挫傷をした後、どのようにケアすればよいかわからない方
- 急性期の腫れは引いたのに、違和感や不安定感が残っている方
- 同じ部位を繰り返して傷めてしまう方
- ケガの後、体重がかけられず日常動作に困っている方
- スポーツや日常生活にできるだけ早く戻りたいが、焦らず適切にケアしたい方
- 以前にケガをした部位の「古傷の痛み」が気になっている方
まとめ
打撲・捻挫・挫傷といった軟部組織損傷は、「よくあるケガ」だからこそ正しいケアの知識がとても大切です。2020年の論文では、受傷直後から亜急性期にかけてのケアの考え方として「PEACE(急性期の保護・挙上・圧迫・教育)」と「LOVE(漸進的負荷・楽観・血流促進・運動)」という2段階のフレームワークが提唱されており、「冷やして安静にするだけ」という考え方とは一線を画す内容として注目されています。
「受傷後にどう対処したらよいかわからない」「腫れは引いたのに違和感が残っている」という場合は、ぜひ一度横須賀悠整骨院へご相談ください。状態を丁寧に確認したうえで、段階的な対応を行っています。
参考文献
Dubois B, Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine. 2020;54(2):72-73. doi: 10.1136/bjsports-2019-101253.





