お子さんの背中、まっすぐに伸びていますか?
2026年08月5日
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。
お子さんの体操服の後ろ姿や、プールの授業の前に着替えを手伝ったときなど、ふとした瞬間に「肩の高さが左右で違う気がする」「片方の肩甲骨が浮いて見える」と感じたことはありませんか。本人はまったく痛みを訴えていないことが多いため、見過ごされやすいのですが、これは思春期特発性側弯症と呼ばれる背骨のねじれ・弯曲のサインである場合があります。今回は、この側弯症と、成長期の姿勢づくりについて、最近発表された研究をもとにお伝えします。

思春期特発性側弯症とはどのような状態か
側弯症とは、背骨が左右に弯曲し、同時にねじれを伴う状態を指します。なかでも思春期特発性側弯症は、10歳前後から成長期にかけて発症することが多く、原因がひとつに特定されていないタイプです。多くの場合はカーブが軽度にとどまり、経過観察や運動によるサポートで過ごせる方がほとんどです。一方で、成長のスピードが速い時期にカーブが進んでしまうケースもあり、その場合は整形外科での経過観察や、場合によっては手術という選択肢が検討されることもあります。
なぜ思春期に多く見られるのか
側弯症は生まれつきのタイプや神経・筋肉の病気に伴うタイプなど、いくつかの分類がありますが、そのなかでもっとも多いのが思春期特発性側弯症です。発症のピークは身長が一気に伸びる時期と重なることが多く、骨の成長スピードに、それを支える筋肉や靭帯の発達が追いつかないことが関係しているのではないかと考えられています。男女で見ると女子に多く見られる傾向があり、進行の度合いにも個人差があります。学校の健康診断で行われる脊柱側弯症検診は、まさにこの時期を狙って実施されているものです。

ご家族が気づきやすいサイン
保護者の方が日常のなかで気づきやすい変化には、次のようなものがあります。
- 立ったときに左右の肩の高さが違って見える
- 片方の肩甲骨だけが後ろに突き出して見える
- ウエストのラインが左右で非対称になっている
- 前屈をしたときに背中の片側だけが盛り上がる
- 制服やカバンの肩紐がいつも同じ側だけずれる
- 長時間座っていると疲れやすく、姿勢を保ちにくいと本人が話す
これらはひとつでも当てはまれば側弯症と決まるわけではありませんが、いくつか重なる場合は、一度専門家に相談されることをおすすめします。
ご自宅で簡単に確認する方法として、お子さんに両足をそろえて立ってもらい、腕を自然に下げた状態で後ろから肩の高さ、肩甲骨の位置、ウエストのくびれ方を観察する方法があります。次に、両手を合わせるようにゆっくり前屈してもらい、背中を横から見て、片側だけが山のように盛り上がっていないかを確認します。明るい場所で、できれば背景に横縞模様のTシャツなどを避けて行うと、左右差が見やすくなります。
研究が示す、手術前の運動がもたらす変化
2026年にヨーロピアン・スパイン・ジャーナル誌に掲載されたシステマティックレビューでは、思春期特発性側弯症の手術を控えた患者に対して、手術前の運動介入(プレハビリテーション)を行った複数の研究がまとめられています。この報告では、術前に呼吸機能や体力を高めるための運動プログラムに取り組んだ患者は、手術後の回復過程において良い傾向がみられたことが整理されています。具体的には、術前に体力づくりを行うことが、術後の身体機能の戻りやすさと関連していた可能性が示されているのです。
この研究はあくまで手術を予定している患者を対象にしたものですが、私たちが注目したいのは「体を動かせる状態を、あらかじめ整えておくことの意味」です。手術の有無にかかわらず、成長期の背骨や体幹をふだんからどう使っているかは、将来の姿勢や身体の使いやすさに関わってくると考えられます。
なお、レビューの著者らは、対象となった研究の数や規模がまだ限られており、どのような運動内容・期間が最も効果的かについては今後さらに検証が必要だと述べています。ひとつの研究結果だけで結論を急がず、あくまで「事前の備えには意味がありそうだ」という方向性を示すものとして受け止めていただくのがよいと思います。
姿勢や日常の習慣とのかかわり
側弯症の進行そのものと生活習慣との因果関係は、まだ研究途上の部分が多いテーマです。ただし、次のような習慣は、姿勢のクセを助長しやすいと言われています。
片方の肩だけでカバンを持つ、いつも同じ足に体重をかけて立つ、スマートフォンを見るときに首と背中が丸まった姿勢を長時間続ける。これらは思春期の子どもに限らず、大人にも共通する姿勢のクセです。特に成長期は骨や関節がやわらかく、姿勢のクセが体の使い方に影響しやすい時期でもあります。だからこそ、痛みがない段階から、姿勢や体の使い方に目を向けておくことに意味があると私たちは考えています。
そのままにしておくとどうなるか
軽度の側弯であれば、日常生活に大きな支障が出ないことも多くあります。しかし、成長期にカーブが進んでしまうと、見た目のバランスだけでなく、呼吸のしやすさや体幹の安定性にも影響が及ぶことがあります。また、大人になってから腰や背中の張りやすさとして自覚されるケースも報告されています。早い段階で状態を把握しておくことは、その後の選択肢を広げることにつながります。

横須賀悠整骨院でできること
当院では、まず姿勢の写真記録や、肩・肩甲骨・骨盤の高さの左右差を確認するチェックから始めます。前屈時の背中の盛り上がりの有無、股関節や肩関節の可動域、体幹を支える筋肉の使い方なども合わせて確認し、ご本人やご家族と情報を共有します。そのうえで、日常生活のなかで取り入れやすいストレッチや、体幹を安定させるための簡単な運動をご提案しています。
たとえば、うつ伏せで両腕を軽く持ち上げて背中まわりの筋肉を働かせる運動や、椅子に座ったまま骨盤を立てる感覚をつかむための簡単な動作など、ご自宅で数分でできるものを中心にお伝えしています。学校生活や部活動を優先しながら続けられるよう、無理のない範囲で回数や頻度を一緒に決めていきます。また、定期的にご来院いただくことで、姿勢の変化を継続的に記録し、変化があれば早めに気づけるようにしています。
なお、当院での確認はあくまで姿勢や身体機能の範囲にとどまります。カーブの角度など医学的な診断には画像検査が必要になるため、進行が疑われる場合は整形外科への受診を優先してご案内しています。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。
よくいただくご質問
「ストレッチを続ければ改善しますか」というご質問をよくいただきます。姿勢を整える運動は、体幹の筋力バランスや柔軟性を保つうえで役立つと考えられていますが、カーブの角度そのものへの影響は、お子さん一人ひとりの状態によって異なります。過度な期待を持たず、まずは現在の姿勢を把握し、変化を追いかけていく姿勢が大切だと当院ではお伝えしています。
また、「運動部を続けても大丈夫か」という相談もよくあります。多くの場合、軽度の側弯であれば運動を制限する必要はありません。ただし、フォームの崩れが目立つ場合は、練習内容や姿勢の使い方について、顧問の先生とも情報を共有していただくと安心です。
気になる方はご相談ください
「うちの子の背中、大丈夫かな」という漠然とした不安を、そのままにしておく必要はありません。学校の身体測定で指摘を受けた場合はもちろん、ご家族が普段の様子から違和感を覚えた場合も、遠慮なくお声がけください。お子さんの成長段階や生活スタイルに合わせて、できることを一緒に整理していきます。
まとめ
思春期特発性側弯症は、痛みのないまま進むことがあるため、周囲が姿勢の変化に気づくことが早期発見の入り口になります。今回ご紹介した研究は手術を控えた患者を対象としたものですが、体力や姿勢をあらかじめ整えておくことの意義を考えるきっかけになる内容でした。日々の姿勢チェックと、気になったときの早めの相談を、ぜひ習慣にしていただければと思います。
参考文献
Tam TH, et al. “Prehabilitation and preoperative exercise in adolescent idiopathic scoliosis surgery: a systematic review.” European Spine Journal, 2026. PMID: 42053791.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42053791/





