肩の付け根の骨折後、なぜ早めに動かすことが大切なのか ── 上腕骨近位部骨折と当院での手技的サポートについて

2026年05月17日

神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。

「転んで肩をぶつけたら、骨折と言われてしまった」「固定が外れたのに、肩が全然上がらない」「骨はくっついたはずなのに、まだ痛くて動かしにくい」──このようなお悩みを持つ方が、骨折後のケアのご相談でいらっしゃることがあります。骨折は「骨がくっつけばそれで終わり」ではなく、その後の動きの回復こそが日常生活の質に大きく関わってきます。今回は、高齢者に多い「上腕骨近位部骨折(じょうわんこつきんいぶこっせつ)」について、その特徴と骨折後のリハビリに関する最新の知見をもとに、当院での対応についてお伝えします。

上腕骨近位部骨折とは?

上腕骨近位部骨折とは、肩の付け根にある上腕骨の上端部分(頭部・外科頸・大結節など)に生じる骨折のことです。肩関節に近い部分の骨折であるため、骨折後の肩の動きに大きく影響するという特徴があります。

この骨折は特に50代以上の女性に多く見られます。転倒して手や肘をついたときに衝撃が肩まで伝わること、または肩に直接外力が加わることで起こるとされています。骨粗しょう症によって骨密度が低下していると、比較的軽い衝撃でも骨折が起こりやすくなります。

骨折の程度にはさまざまなタイプがあり、骨のずれが小さい「安定型骨折」の場合は、手術をせずに三角巾などで固定しながら保存的に対応するケースも多くあります。こうした保存的な対応の場合には、その後のリハビリテーションの進め方が、肩の機能回復において重要な意味を持ちます。

よく見られる症状・特徴

上腕骨近位部骨折に伴う主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 肩の付け根から上腕部にかけての強い痛み
  • 腕を動かそうとすると痛みが強くなる
  • 肩周辺の腫れや皮下出血(青あざ)
  • 腕が自力でほとんど上がらない状態
  • 時間の経過とともに肩関節が硬くなってくる感覚(拘縮)

骨折後に特に注意が必要な状態が「拘縮(こうしゅく)」です。拘縮とは、関節を包む組織が硬くなり、関節の動ける範囲が制限される状態を指します。固定期間が長くなるほど拘縮が進みやすいといわれており、これが骨折後に「肩が上がらない」「服が着られない」といった日常的な支障につながることがあります。

原因として考えられる状態(論文の知見から)

2024年に発表された系統的レビュー(Ranieri R ら、European Review for Medical and Pharmacological Sciences)では、上腕骨近位部骨折の保存的治療(手術を行わない対応)において、骨折後早期(1週間以内)からリハビリを開始したグループと、従来の固定療法を継続したグループとの比較が行われました。

この研究では、早期可動域訓練(早期から関節を動かす練習)を開始したグループは、固定を長く継続したグループと比較して、骨折後数か月の段階において痛みの軽減・肩の機能回復において有利な傾向が示されました。また、早期リハビリによって骨の癒合が妨げられるという事態は確認されておらず、適切なタイミングと方法で進めた早期リハビリの安全性が支持されています。

ただし、長期的なフォローアップでは両グループの差は縮小する傾向にあるとも報告されており、骨折の型・ずれの程度・年齢・骨密度などの状態によって最適なアプローチは異なります。「いつから、どのように動かし始めるか」は、担当医の診察と指示のもとで判断することが前提です。

姿勢や生活習慣の影響

骨折後の回復や再発リスクに関わる要素として、日頃の姿勢や生活習慣も影響している可能性があります。

たとえば、長年の「前傾姿勢」「巻き肩」「猫背」のような不良姿勢が続いていると、肩甲骨や肩関節周囲の筋肉バランスが崩れやすくなります。肩関節に偏った負荷がかかった状態で転倒すると、より骨折しやすくなる可能性も考えられます。また、骨折後にこうした姿勢の問題が残ったままだと、リハビリが進みにくくなるケースも見受けられます。

骨の強さを維持するためには、日頃の適度な運動・カルシウムやビタミンDを含む食事・日光浴なども大切とされています。特に閉経後の女性は骨密度が低下しやすい時期でもあるため、整形外科での骨密度チェックもご検討ください。

※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

放置によって起こりうる影響

骨折後に適切なケアを行わないままでいると、以下のような二次的な問題につながる場合があります。

  • 肩関節の拘縮(肩が慢性的に動かしにくい状態の定着)
  • 上肢の筋力低下・筋肉量の減少
  • 骨がくっついた後も続く慢性的な肩の痛み
  • 日常動作(衣服の着脱・洗髪・高い場所への手伸ばしなど)の困難化
  • 転倒リスクの増大(バランス低下・可動域制限による)
  • 全体的な活動量の低下・生活の質への影響

特に高齢の方では、片側の肩が不自由になることで全身の活動量が低下し、体力の衰えにつながるケースも少なくありません。骨が癒合した後のリハビリ的ケアこそが、日常生活への復帰において重要な段階といえます。

当院で行っている対応

横須賀悠整骨院では、骨折後の状態回復を目的としたサポートを行っています。担当医の診察・管理を前提としたうえで、並行して行えるケアを提供しています。

状態確認と動きのチェック

まず現在の肩の可動域・痛みの程度・日常生活の困りごとを丁寧に聞き取ります。どのくらいの動きができているか、どこに痛みや硬さがあるかを確認したうえで、施術の内容を検討します。

手技的なアプローチ(施術)

  • 関節周囲への手技: 固定後に硬くなった肩関節周囲の組織に対して、無理のない範囲での介助的・他動的な動きのサポートを行います
  • 周辺筋群へのケア: 肩甲骨周辺・首・背中の筋肉の緊張をほぐし、肩関節が動きやすい環境を整えることを目指します
  • 段階的な可動域へのアプローチ: 痛みの状態を確認しながら、徐々に動ける範囲を広げていくステップを踏みます

生活指導・セルフケアの案内

  • 自宅でできる安全な動かし方の確認
  • 患部を守るポジショニングや日常動作の注意点
  • 再受傷リスクを減らすための動作アドバイス

こんな方は一度ご相談ください

  • 肩の骨折後、担当医から「リハビリを始めて良い」と言われたが何から始めたら良いか分からない方
  • 固定が外れたが肩が硬くて思うように動かない方
  • 整形外科と並行して手技的なサポートも受けたい方
  • 骨折後の肩の可動域の改善や痛みの状態が気になる方
  • 転倒が怖くなってきた・予防にも取り組みたいとお考えの方

まとめ

上腕骨近位部骨折は、骨がくっついた後のリハビリがその後の生活の質を大きく左右します。2024年の系統的レビューでは、保存的治療において早期からのリハビリテーション(早期可動域訓練)が拘縮予防・機能回復に寄与する可能性が示されており、適切なタイミングでケアを始めることの重要性が改めて示されています。

横須賀悠整骨院では、骨折後の肩の動きの回復をサポートする手技的なケアと生活アドバイスを提供しています。整形外科での管理と並行して、可動域の改善や日常生活への早期復帰を目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。


参考文献

Ranieri R, Lacouture-Suarez JD, Ferrero M, Longobardi V, Cacace F, Ferrero A, Bertolino EM, Kon E, Lipina M, Lychagin A, Di Matteo B, Castagna A. “Early rehabilitation vs. conventional immobilization in nonoperative treatment of proximal humeral fracture: a systematic review.” European Review for Medical and Pharmacological Sciences, 2024 Jun. URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38884512/