むち打ちは「レントゲンで異常なし」で終わらない
2026年10月7日
むち打ちの痛みは、なぜこんなに長引くのか
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。交通事故やスポーツ中の接触などで首に強い力が加わった後、数週間、数か月たっても首や肩の重さ、頭痛、腕のしびれのような感覚が抜けないというご相談を受けることがあります。いわゆる「むち打ち症」は、急性期の痛みが落ち着いたあとも、症状だけが残ってしまうことが少なくありません。病院で画像検査を受けても骨や神経に大きな異常が見当たらず、「様子を見ましょう」と言われたまま、なんとなく不調を抱え続けている方も多いのではないでしょうか。今回は、慢性化したむち打ち関連障害に対して、運動療法と痛みについての教育を組み合わせたケアを検証した海外の臨床研究をもとに、長引く不調とどう付き合っていくかを考えていきます。
事故から半年、一年たっても続く不調のかたち

当院にご相談いただく方に多いのは、次のような症状です。
- 首を後ろに倒すと突っ張るような違和感がある
- 肩から腕にかけて重だるさやしびれが出ることがある
- 頭痛やめまいが繰り返し起こる
- 長時間のデスクワークや車の運転で首の疲労が強くなる
- 天候の変化や緊張する場面で症状がぶり返す
- 振り返る動作や洗濯物を干すときの上を向く姿勢がつらい
こうした状態は「むち打ち関連障害」と呼ばれ、事故から半年、一年とたっても症状を抱えている方が一定数いることが知られています。特に、後部座席からの追突事故や、想定していなかった衝撃を受けた場合に症状が長引きやすいと言われています。画像検査で大きな異常が見つからないまま、不調だけが残ってしまうケースも珍しくありません。当院にも、事故直後は整形外科で経過観察となり、しばらく様子を見ていたものの、数か月たっても首の重さが抜けないという理由でお越しになる方が少なくありません。
「レントゲンで異常なし」の先にあるもの
2025年にJAMA Network Openという医学雑誌に掲載された、ベルギーの研究チーム(Malfliet氏ら)による無作為化比較試験があります。慢性化したむち打ち関連障害を持つ120名の方を対象に、通常の理学療法を受ける群と、痛みの仕組みを分かりやすく伝える「疼痛科学教育」に、ストレスへの向き合い方と考え方に働きかける運動療法を組み合わせたケアを受ける群とを比較したものです。
6か月後の生活上の支障度という主要な指標では、両群のあいだに統計的にはっきりとした差は見られなかったと報告されています。一方で、施術を終えた直後や12か月後という長い時点では支障度がより小さくなる傾向があったこと、そして「動くと悪化するのではないか」という恐怖心や、痛みに対して敏感になっている状態(中枢性感作と呼ばれる状態)の改善には、この組み合わせケアのほうがよい方向に働いたことが報告されています。かかった費用に対する効果という点でも優れていたとされています。
つまり、レントゲンやMRIで大きな異常が見つからなくても、痛みへの向き合い方や身体の使い方を見直すことで、状態に変化が出ることがあるということです。「異常なし」で相談を終わりにせず、その先にある生活の質まで考えることが大切だと、この研究は示唆しています。
この研究でいう「疼痛科学教育」とは、痛みが必ずしも組織の損傷の大きさと比例するわけではなく、神経や脳の働きによっても強まったり弱まったりするという仕組みを、患者さん自身に分かりやすく説明する関わり方を指します。仕組みを理解することで、「痛い=悪化している」という思い込みが和らぎ、必要以上に身体を守りすぎる状態から抜け出しやすくなるとされています。あわせて行われる運動療法も、いきなり負荷をかけるのではなく、不安を感じにくい範囲から段階的に動きを広げていく進め方が特徴です。

座り方・首の使い方が回復を左右する
むち打ち症状が長引く背景には、首そのものの状態だけでなく、日常生活での姿勢や動作のクセが関係していることが少なくありません。たとえば、スマートフォンを見るときに顎が前に出た姿勢を長時間続けていたり、電車の中で下を向いたまま眠ってしまったりすると、首まわりの筋肉に一方向の負担がかかり続けます。また、痛みを避けようとして首をほとんど動かさない生活になっていると、周囲の筋肉がこわばり、かえって可動域が狭くなることもあります。
痛みを避けて動かさない状態が続くと、身体は「動く=危険」だと学習してしまい、実際の組織の状態以上に動きへの恐怖心が強くなってしまうことも、こうした研究で指摘されている点です。買い物袋を持つ、車のバックミラーを確認するといった何気ない動作にまで不安を感じるようになると、生活全体が窮屈になってしまいます。

そのままにしていると、動きの幅がさらに狭くなることも
症状を我慢しながら過ごしていると、首まわりの筋肉や関節の動きがだんだん制限され、肩こりや頭痛が慢性化しやすくなります。また、痛みに対する不安から外出や運動を避けるようになり、生活の範囲そのものが狭くなってしまうケースも見られます。年齢を重ねている方の場合、動かさない期間が長引くほど、首まわりの筋力やバランス感覚が落ちやすくなることも心配される点です。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。しびれが強くなる、手に力が入りにくいといった症状がある場合は、まず医療機関で神経学的な評価を受けていただくことをおすすめしています。
横須賀悠整骨院でできること
当院では、まず事故の状況や症状の経過、日常生活での困りごとを丁寧に伺うところから始めます。首や肩の動きを実際に確認し、どの動作で痛みが強くなるのか、逆にどんな姿勢なら楽なのかを一緒に把握していきます。そのうえで、手技によって首まわりの緊張をやわらげるケアに加えて、無理のない範囲で少しずつ首を動かす練習や、痛みの仕組みについての説明を行っています。「この動きなら大丈夫」という感覚を、ひとつずつ積み重ねていただくことを大切にしています。
久里浜・北久里浜にお住まいの方の中には、車の運転が生活に欠かせない方も多くいらっしゃいます。運転中の姿勢や首の使い方についても、実際の動作を確認しながら一緒に見直していきます。
初回は特に時間をかけて、事故当時の状況、これまで受けてきた検査や施術の経過、日常生活のどの場面で困っているのかを整理します。そのうえで、首・肩まわりの筋肉の緊張具合や、どの角度まで動かすと違和感が出るのかを確認し、現状に合わせたケアの進め方をご説明します。手技によるケアは、痛みを我慢して耐えるようなものではなく、こわばった筋肉をゆるめながら、少しずつ動かせる範囲を広げていくことを目的としています。あわせて、自宅でできる簡単な運動やストレッチ、痛みが出たときの考え方についてもお伝えし、来院時だけでなく日常生活の中でも回復に向けた工夫を続けられるようにサポートしています。
ひとりで抱え込まず、まずは状態を確認しましょう
事故から時間がたっているからといって、今さら相談してもいいのか迷う方もいらっしゃいますが、症状が続いている限り、状態を確認する意味は十分にあります。特に自賠責保険の対応期間が終わったあとも不調が残っている場合、どこに相談すればよいか分からず、そのままにしてしまう方も少なくありません。長引く首の不調に心当たりがある方は、一度当院にご相談ください。
長引く症状と、これからの付き合い方
むち打ち関連障害は、画像検査だけでは説明しきれない部分が多い症状です。痛みの仕組みを理解し、身体を少しずつ、そして無理のない範囲で動かしていくことが、生活の質を取り戻す一歩になり得ます。事故から時間が経過していても、今の状態を丁寧に確認するところから見直せることは多くあります。焦らず、ご自身のペースで向き合っていきましょう。当院は久里浜・北久里浜にお住まいの方はもちろん、周辺地域から通われている方も多く、年齢を問わずご相談いただいています。
参考文献
Malfliet A, et al. “Pain Science Education, Stress Management, and Cognition-Targeted Exercise Therapy in Chronic Whiplash Disorders: A Randomized Clinical Trial.” JAMA Network Open. 2025. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40794407/





