上腕骨外側上顆炎と保存的なケアの選び方
2026年10月5日
神奈川県横須賀市久里浜と北久里浜の中間に位置する接骨院・整体院の横須賀悠整骨院です。今回は、雑巾をしぼる、フライパンを振る、荷物を持ち上げるといった何気ない動作のたびに肘の外側がズキッと痛む「上腕骨外側上顆炎」、いわゆるテニス肘についてお話しします。あわせて、腱の状態について最近まとめられた総説論文の知見もご紹介します。
肘の外側に出る痛みの正体
上腕骨外側上顆炎は、手首を動かす際に使う前腕の筋肉が、肘の外側で骨に付着する部分に負担が積み重なり、腱の組織にわずかな変化が生じることで起こると考えられています。テニスのバックハンドで発症する方は、実は多くありません。当院にご相談にいらっしゃる方の大半は、スポーツ経験のない中高年の方で、掃除・調理・パソコン操作・お孫さんの抱っこといった、ごく普通の生活動作の積み重ねがきっかけになっています。四十代から六十代にかけて発症しやすいとされ、利き手側に出やすい傾向があることも、当院での相談内容から実感しているところです。

こんな場面で気づかれることが多いです
- タオルや雑巾をしぼったときに、肘の外側にズキッとした痛みが走る
- ドアノブをひねる、瓶のふたを開けるときに力が入りにくい
- パソコンのマウス操作を続けると、肘から前腕にかけてだるさが残る
- 荷物を持ち上げた瞬間、肘の外側に鋭い痛みが走る
- フライパンや鍋を持ち上げる動作で、力が抜けるような感覚がある
- 朝起きたときに肘が重く感じ、握る動作がしにくい
似た症状に、肘の内側が痛む「上腕骨内側上顆炎」、いわゆるゴルフ肘もあります。痛む場所や負担のかかる動作の向きが異なりますので、まずはどちらが痛むのかをご自身で確認していただくことも、状態を把握する手がかりになります。手首を手の甲側に反らす動作で外側が痛むのか、手のひら側に曲げる動作で内側が痛むのかによって、負担のかかっている腱の位置が変わってきます。

腱に負担が積み重なる背景
ご紹介する総説論文では、肩の腱板、肘の外側上顆、膝の腱、アキレス腱など、代表的な六つの腱の状態がまとめて取り上げられていました。いずれにも共通していたのは、「一度の大きな外傷というより、日常的な負荷の繰り返しによって腱の組織にわずかな変化が積み重なっていく」という点です。診断は問診と身体所見が中心で、近年は超音波検査を併用する機会が増えていることも紹介されています。体外衝撃波治療や多血小板血漿注射といった治療法についても触れられていましたが、短期的な変化にとどまるケースが多く、長期的な効果については今後さらに研究が必要とされている段階だと整理されていました。年齢を重ねると腱そのものの柔軟性や血のめぐりも変化しやすくなるため、若い頃と同じ動作でも負担のかかり方が変わってくる点は、シニア世代の方に特に知っておいていただきたい内容です。論文の著者らは、痛む場所を押して確認する触診と、特定の姿勢をとってもらう検査を組み合わせることで、多くの場合は画像検査に頼らなくても状態を把握できると述べています。ただし、痛みが長引く場合や他の病気との見分けが難しい場合には、超音波検査が診断の助けになることも紹介されていました。
こんな方は特に注意が必要です
- 毎日の炊事や洗濯で手首を使う時間が長い方
- デスクワークでマウスやキーボードの操作が多い方
- お孫さんの抱っこや荷物の上げ下ろしが日課になっている方
- ガーデニングや庭仕事で草むしりの動作をくり返す方
- 利き手だけに作業が偏りやすい方
いずれも、ひとつひとつの動作は軽い力であっても、毎日くり返すことで腱への負担が少しずつ積み重なっていきます。ご自身の一日の動作を振り返り、思い当たる場面がないか確認してみてください。

姿勢とくり返し動作の影響
原因は肘だけにあるとは限りません。猫背気味の姿勢や、肩がすくんだ状態で腕を使い続けると、前腕の筋肉に余計な緊張がかかりやすくなります。また、利き手ばかりに家事や作業が偏っていると、同じ腱の同じ場所に負担が集中してしまいます。買い物袋を持つ手を左右で変えてみる、雑巾がけのときに肘をまっすぐ伸ばしすぎない、パソコン作業の合間に前腕を伸ばすストレッチを挟むといった、小さな工夫の積み重ねでも腱への負担は変わってきます。椅子に浅く腰かけて肘を体から離した姿勢で作業を続けると、前腕にかかる負担がさらに大きくなりますので、肘を軽く体に近づけ、手首をまっすぐに保つ意識も助けになります。
ご自宅でできる工夫
施術と並行して、ご自宅でも取り入れやすい工夫がいくつかあります。たとえば、手のひらを下に向けた状態で反対の手を使い、手首をゆっくり手のひら側に曲げて前腕の外側を伸ばすストレッチは、入浴後の体が温まったタイミングで行うと伸ばしやすいと感じる方が多くいらっしゃいます。痛みが強く出る動作の直後は、無理に動かし続けず、冷やして様子を見ていただくことも大切です。反対に、慢性的にだるさが続いている段階では、温めながら軽く動かすほうが楽に感じる方もいます。ご自身の状態によって適した対応が変わりますので、迷ったときは当院にご相談ください。また、パソコン作業では一時間に一度は手を止めて肩や肘を大きく動かす、家事の合間には手首をぶらぶらと軽く振るといった、短い休憩を挟む習慣も腱への負担を減らす助けになります。
我慢して使い続けるとどうなるか
痛みを我慢しながら同じ動作を続けていると、腱の状態がゆっくりと変化し、以前より軽い力でも痛みが出やすくなることがあります。握力が落ちたように感じる方、箸やペンを持つ動作にまで違和感が広がる方、夜間に肘がうずいて眠りが浅くなる方もいらっしゃいます。日常生活の動作そのものがつらくなってしまう前に、早めに状態を確認しておくことをおすすめします。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もありますので、痛みが数週間以上続く場合や、しびれを伴う場合は無理をなさらないでください。
横須賀悠整骨院での向き合い方
当院ではまず、どの動作でどのように痛みが出るのか、いつ頃から気になり始めたのか、これまでの生活習慣や利き手の使い方について丁寧にお伺いします。そのうえで、肘を伸ばす・曲げる・手首を反らすといった一つひとつの動きを確認し、痛みの出る角度や力の入り方、握力の左右差などを把握します。確認した内容をもとに、前腕の筋肉のこわばりに対する手技、肘まわりの可動性を整えるアプローチ、肩や手首を含めた腕全体のバランスを見直す施術を組み合わせ、あわせて日常動作の負担を減らすためのセルフケアをご提案しています。ご紹介した論文でも触れられていたとおり、腱の状態は一度の施術で大きく変わるものではなく、生活動作の見直しと合わせて段階的に整えていく姿勢が欠かせないと考えています。ご自宅でできる前腕のストレッチの頻度や、痛みが出やすい動作を避ける工夫についても、お一人お一人の生活スタイルに合わせて具体的にお伝えしています。
ご相談ください
久里浜・北久里浜周辺にお住まいで、肘の違和感が気になっている方、家事や仕事の動作で肘をかばうようになった方は、一度当院にお声がけください。痛みの出ている期間や動作の癖をうかがいながら、無理のない範囲で日常生活を続けていただけるよう、お一人お一人に合わせた向き合い方をご提案いたします。
おわりに
上腕骨外側上顆炎は、スポーツをしない方にも起こりうる、身近な不調のひとつです。「年のせい」とあきらめてしまう前に、日々の動作や姿勢のなかで腱にどれだけ負担がかかっているかを見直すことから始めてみませんか。痛みが軽いうちに動作の癖を整えておけば、家事や仕事を大きく制限せずに済むことも少なくありません。横須賀悠整骨院は、久里浜・北久里浜の皆さまの毎日の動作に寄り添いながら、長くお付き合いできる場所でありたいと考えています。気になることがございましたら、どうぞ気軽にお立ち寄りください。
参考文献
Meredith TJ, et al. “Diagnosis and Management of Common Tendinopathies.” Current Reviews in Musculoskeletal Medicine, 2025. PMID: 40890522. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40890522/





